本屋、CD屋、文房具屋、コンピュータ屋
2019年5月1日から「令和元年」として新たな元号がスタートするわけですが、これからの時代に何が起きていくのでしょうか。
筆者の地元の駅商業施設の最も大きな区画は、それまで書店でした。しかし書店が撤退し、ビデオとCDのレンタルショップに変わります。近年はだんだんゲームの販売や中古のスマートフォンの販売などに面積が割かれるようになりましたが、2019年2月末でついにそのレンタルショップも撤退してしまいました。
メディアの移り変わりを考えると、納得がいく変遷と言うべきかもしれませんが、実は書店は駅ビルの別の区画に再オープンしており、結局消えてしまったのはレンタルビデオ・CDショップでした。
さらに言えば、筆者が育った地元の駅にはケータイショップも、パソコンやタブレットを扱うショップもまだありませんが、文房具屋はビジネスを続けています。消耗品かどうかという違いはあります。もっとも、ペンや消しゴムを最後まで使い切った記憶はありませんが。
鉛筆の握り方や文字の書き方は小学校で長年教えられてきました。最近ではプログラミング必修化によって、コンピュータの操り方まで習うようになっています。
しかし文具屋が当たり前のようにあって、コンピュータ屋が当たり前じゃないという違いを考えると、やっぱりまだまだコンピュータは社会や教育の中で「特別なもの」という位置づけを脱しないのではないか、と思ってしまいます。
確かにコンピュータ教育の歴史はまだまだ浅いため、鉛筆を使った学習と比較すべきではないのかもしれません。しかし現在のコンピュータ教育に対する取り組み方や姿勢が、街の文具屋をコンピュータ屋に置き換えるほどの勢いがあるかと言われると、「まだまだ」という感想を抱いてしまいます。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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