ディスプレーが曲がる「G Flex」など、特徴あるスマートフォンを作る技術力を持ったLG。日本向けにもカスタマイズモデルや防水端末を率先して投入するなど、小回りの利く製品開発にも定評があります。しかし合体式スマートフォン以降、事業展開は劣勢に回っています。5Gに再起をかけるLGの、2016年以降の動きを追いかけます。
ワイドサイズディスプレイブームの立役者になれず
2016年に発売した「G5」はカメラグリップやハイファイサウンドモジュールを合体できることを売りにしていましたが、アタッチメントをそろえると総額はかなり高くなってしまいます。またほかにアタッチメントが出てこなかったことや、将来買い替えた時に使いまわしができるか不明であることなどから消費者には敬遠されてしまいました。つまりG5は「合体モジュールも含めたトータル体験」を売りにしていたのにも関わらず、「G5本体のみを買う」消費者ばかりだったのです。
LGの毎年春の新製品はサムスンのGalaxy Sシリーズ対抗製品として世界中の消費者もどちらを買うか悩むほどでしたが、このG5は敬遠されてしまったことから、LGのフラッグシップスマートフォンのブランド力までも低下させてしまったのです。そして秋に出した「V20」も、「Galaxy Note 7」の発火騒ぎでむしろ注目が「iPhone 7」に集中してしまい、陰に隠れた存在になってしまいました。
起死回生を狙い2017年2月に発表されたフラッグシップモデル「G6」は抜本的なハードウェアの進化をひっさげて登場しました。それはディスプレーサイズの変更です。従来のスマートフォンのディスプレーは縦横比が16:9で、そのままサイズアップを各社が競っていました。しかしこの比率では6型を超えるともはや片手で持つことは困難な幅になってしまいます。
そこでG6は新たに18:9というワイドサイズのディスプレーを採用。シネマディスプレーという名称を付け、映画などのコンテンツをより迫力あるサイズで見ることができるというものでした。しかも5.7型ディスプレーながら片手でも十分持てる横幅を実現したのです。
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