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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第502回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー 現在に続くIBMのメインフレーム事業

2019年03月18日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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後継はz11と思いきや謎の型番に
ついにOut-of-Orderを実装

 z9・z10ときたら次はz11かと思ったら、なぜかz196とz114になった。事実2009年頃は、z9が販売停止を受けて、次はz11になると目されていた。

 どちらも基本は同じであり、ついにプロセッサーのパイプラインにOut-of-Orderを実装している。製造はCMOS 12S(45nm SOI)で、コアあたり64K/128Kの1次キャッシュとユニファイド2次キャッシュを搭載、さらに12/24MBのeDRAMを利用した3次キャッシィも搭載するというもので、4コアで512.3mm2という巨大なダイになっている。

2次キャッシュはz6/z10(3MB)から半減したが、その分3次キャッシュをeDRAMで統合したことでカバーする。z196とz114の違いは、このレベルでは動作周波数と3次キャッシュの容量だけである

 さて、z114はビジネス向けなのでパッケージはSCM(Single Chip Module)であるが、z196は企業向けで8チップのMCMになっている。

z114では、PUチップとSCチップが別々に実装される。z196向けのMCMは96×96mmなので、それほど巨大というわけではない

 このz196向けのMCMの内部構造が下の画像だ。MCM1個あたり24コアと3次キャッシュ144MB/4次キャッシュ192MBというお化けチップになっている。

z196向けのMCMの内部構造。一番下のCompression/Cryptoは説明していないが、以前から入っていた暗号化エンジンと圧縮エンジンで、これは2コアで共有する

 z114/z196を搭載したのが、2011年7月に発表されたzEnterprise 196とzEnterprise 114で、zEnterprise 196は最大80コア、zEnterprise 114は最大14コアまで拡張可能とされる。

 z196をベースにプロセスの微細化(CMOS13S:32nm SOI)とコア数増加、Out-of-Orderの効率向上(In-Flight Windowを増強)などを施したのが、2013年に発表されたzEC12である。

zEC12では、ついにダイサイズは600平方mmに。ちなみに業界初のメモリートランザクション命令(IntelがTSX命令として追加したものに近い)を搭載したのもこのzEC12である

 動作周波数は5.5GHzに引き上げられ、MCM全体では36コア、3次キャッシュ288MB、4次キャッシュ384MBというさらにお化けぶりが増した構成になった。

モジュールあたりの消費電力は1800Wに達しているのが恐ろしい

 もっとも36コアには冗長コアが含まれており、MCM1個あたりで利用できるのは最大30コアまでとなっている。これを利用したzEnterprise EC12は2012年8月に発表され、最大構成ではMCM4つを搭載。トータル120コアのうち、101コアをユーザーが利用可能(残りはシステムで利用)となっていた。

 同時にzEnterprise BC12も発表されたが、こちらはzEC12を使いつつ、コア数は最大13(うちユーザーが利用可能なのは12)に抑えられ、動作周波数も4.2GHzまでとなっている。

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