その施設は、地球上で最も乾燥している場所の1つである中国西部のツァイダム盆地にある。
中国初となる火星探査を来年に控え、火星環境のシミュレーション施設が開設された。国営メディアの「環球時報」(「人民日報」の系列紙)によれば、昨年7月に建設に着手し、総額1億5000万元(2230万ドル)が費やされたという。科学実験を実施する場所として稼働する予定だが、観光スポットにもなるだろう。
米航空宇宙局(NASA)も、火星探査の試験用に同じような砂漠環境を利用している。2020年の打ち上げに備えて、イェール大学のチームが最近、チリのアタカマ砂漠で探査機をテストし、地表下で固有の生命体分布を発見した。打ち上げ期日が1年後に迫る中国が、似たようなことをするのは理にかなっている。
中国は最近、宇宙での活動を月に集中させている。2019年1月には月探査機「嫦娥4号(じょうが:Chang’e-4)」が月の裏側への着陸を果たし、今年後半には別の月着陸も予定している。しかし中国は長年、地球の隣の惑星である火星への大きな跳躍を目論んできた。
すべて計画通りにいけば中国の火星ミッションは2020年に打ち上げられ、2021年に到着予定だ。プロジェクトでは軌道船と探査機の双方を使用し、探査機はこの図の2か所のいずれかへの着陸を想定している。火星が地球に近づく都合のよい打ち上げ期間があるため、NASAやESA(欧州宇宙機関)といった複数の宇宙機関やUAE(アラブ首長国連邦)と行動をともにすることになる。これらすべての機関・国が、火星ミッションを2020年に打ち上げ予定だ。