パイオニアとのコラボレーションで生み出されたスピーカー
――4K放送は音もサラウンド仕様ですけど、そのあたりは対応されているのでしょうか?
村松氏 4K放送のマルチチャンネルには、まだ対応していません。ただ4K放送に限らずなんですけど、よりステレオ感が広がるようにという意味ではソフトウェア(MaxxAudio)で対応しています。
――ヘッドホン出力の処理にこだわりは?
村松氏 スピーカーもヘッドホンも含めてですけども、小信号の処理をHi-Fiのステレオセットでも使われているような両電源(プラスマイナス電源)を使った処理に変更しています。ヘッドホンに関しては、電流増幅時のひずみが少ない専用のヘッドホンアンプのチップを使ってクオリティーアップさせているっていう状態ですね。
――ユニットやそのほかの回路に関して、他社さんと協業して進められている部分はあるのですか?
村松氏 スピーカーに関しては「Sound by Pioneer」ということで、パイオニアさんと共同で開発しています。前世代のモデルからオーディオ面を重視してきたんですけど、今回もその流れでさらにブラッシュアップしていきましょうということになりました。
先ほど申し上げたとおり前モデルではサブウーファーがバスレフ方式だったんですけれども、バスレフポートの穴が非常に狭かったんですね。なので、風切り音のボーボーという音がしてたんですよ。それをなくすためにパッシブラジエーターを使って振動や風切り音を低減したりですとか、あとLRのステレオスピーカー自体もちょっと口径を小さくして、コーン紙やコイルを軽量化してレスポンスを改善するということを共同で進めました。
――オーディオの信号処理もパイオニアさんの技術を使っているんですか?
村松氏 信号処理は我々のほうで設計しています。ただ周波数のカットオフ部分などについてはいちばんいいところをパイオニアさんと共同で見つけて、それを回路に反映するやり方ですね。
――ベース部分がオーディオ専用のような構成ですけど、前モデルに比べて設計の自由度は高かったんじゃないですか?
村松氏 ノートに比べれば、比較的自由にさせていただいてます。しかしそうは言っても高さの制限や構成上の制約はあるんですよね。たとえばディスプレイ側にメイン基板があって下のベース部分にヘッドホンジャックやスピーカーがあるので、オーディオの信号を上から下まで引っ張ってこなきゃいけない。となるとケーブルをどうするかという話になりまして、アナログ方式だとLRの線2本でいいんですけどノイズの影響を受けるのであまりやりたくないですし。デジタル方式だとノイズ的には問題ないんですがコストがかかる。最終的にはデジタルに決めたのですが、コスト面も含めて最適解で構成しています。
川田氏 前モデルではパソコン本体からのノイズを懸念して、アナログ方式を使っていたんですよ。今回はオーディオ的に品質を上げようというところで、デジタル方式を採用しています。
――内部はノイズの影響を受けにくいデジタルで、スピーカーの直前でアナログに変換しているから高音質ということですね
川田氏 スピーカーの上にあるインターフェースが載っている基板上に、オーディオのコントローラーもアンプも載っているんですよ。ケーブルにあとから貼りものをしたりして、少しお金を使っているんですけれども。