世界初の4K TVチューナー内蔵までの道のり
――上位モデルの「ESPRIMO WF2/C3」では4K TVチューナーが内蔵されています。この4K TVチューナーを他社に先駆けて内蔵できた理由を教えてください
中村氏 はい。ここまで来るには、いろいろと苦労がありました。実のところ以前から4K放送の視聴をという話はあったんですけど、性能的にも環境的にもあまり現実的ではなかったんですね。けれども昨年ぐらいからパソコンで観られる環境、たとえば4Kパネルとかグラフィックス性能とか、そのあたりが整ってきまして、本格的にスタートしました。
発売日のターゲットは4Kの本放送開始(2018年12月)に設定したもののかなりタイトな開発期間でしたので、同じ社内だったり開発をお願いしているベンダーさんとも何度もやり取りを繰り返して、なんとかこぎつけたという感じですね。
開発期間中は様々な課題が見えてきましたので、視聴機能に絞ってまずは12月までに対応することにしました。
――スケジュールがけっこう厳しかったんですね。技術的な部分で苦労されたことはありますか?
中村氏 パソコンでは世界初の4K TVチューナー内蔵ということで、実際やってみないとわからないこともいろいろありましたね。カット&トライじゃないですけど、実装して問題が出たら直すということをベンダーさんと何度も何度も繰り返して、品質を上げていきました。
――その問題とは具体的には?
中村氏 一例を挙げますと、試作で4K放送を観られるようになっても、次はパソコン内部でデータとして転送するためには暗号化の処理をしないといけない。その処理を入れたら、観られなくなってしまい振りだしに戻ったことがありました。本放送が流れていない時期には試験放送を使って確認したりですとか、放送をキャプチャーして何度も繰り返し再生して評価するという感じでなんとかやっていました。
川田氏 休日に実験室で、アンテナの配線を天井じゅうにはりめぐらせて試験したりしていましたね。
――本放送が始まるタイミングでパソコン用の4K TVチューナーが周辺機器として発売されましたが、そういった外付けチューナーと内蔵されているチューナーで違いはあるのでしょうか?
川田氏 外部のチューナーは基本的に受信した4K放送の信号を表示すればいいんですけど、パソコンのなかを通すにあたっては転送するデータをセキュア化しなきゃいけないんですよ。なので必ずチューナーからデータを流す段階で一度暗号化して、アプリに渡すと。そのあたりの仕込みが、我々もベンダーさんも初めて取り組みだったんですね。このセキュア化は4K TVチューナーをパソコンに内蔵するために必要なファンクションなんです。
――4K放送の録画はまだ実装されていないとのことですが、だいたいどのくらいで……
中村氏 現在も開発中です。できるだけ早くご提供したいとは考えていますが、もう少しお待ちください。
――フルHDの録画はできるんですか?
川田氏 はい、従来モデルと同様に可能です。
――外付けHDDに録画できるのでしょうか?
中村氏 フルHDでは実現していまして、4Kでもできるようにしたいと考えています。