CGアニメーターとして参加した若杉 遼氏にインタビュー
アカデミー賞受賞作『スパイダーマン:スパイダーバース』アニメならではの映像が新鮮!
2019年03月06日 17時00分更新
様々なスパイダーマンたちが次元を超えて集結! ゴールデン・グローブ賞のアニメーション作品賞やアカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞した3DCGアニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』がいよいよ3月8日より公開される。
本作は、長年スパイダーマンとして活躍してきたピーター・パーカーを死に追いやり、さらなる野望を燃やすキングピンに対し、新たにスパイダーマンの能力を得た中学生マイルス・モラレスが、別の次元から集結したスパイダーマンたちとともにキングピンの計画を阻止する戦いに挑む物語。別次元からきた中年ピーターを師として、人間としてもヒーローとしても成長していくマイルスの姿を描いている。
『スパイダーマン:スパイダーバース』は、実写映画ではなく3DCGで描かれたアニメーション映画。マーベル・コミックの世界観を映像として表現するため、最先端のCGアニメーションツールと手描きのアニメーション技法を組み合わせて制作されており、これまでのシリーズにはない新鮮な映像となっている。
本作には、CGアニメーターとして若杉 遼氏が参加している。若杉氏はサンフランシスコのAcademy of Art Universityを卒業後、ピクサーの『アーロと少年』に参加。その後ソニーピクチャーズイメージワークスに所属し、『アングリーバード』や『スモールフット』などに携わりながら、オンラインアニメーションスクール「アニメーションエイド」で講師を務め、CGクリエーター育成にも取り組んでいるという経歴の持ち主。今回、本作の公開にあわせ、その制作の裏側などのお話しを聞かせていただいた。
目が離せない映画に! スパイダーマンそれぞれのキャラクターごのと動きにこだわった
――『スパイダーマン:スパイダーバース』がいよいよ日本でも公開されますが、その期待などをお聞かせください。
若杉氏:映画を制作している最中にあがってくるビジュアルが、これまで見たことがないビジュアルだったので、やりながらすごく楽しかったです。それと同時に、この映像に対してお客さんがどうリアクションするかわからなかったので、公開まで受け入れられるかどうか不安もありつつという感じです。
――完成した映画を観た感想は?
若杉氏:気付いたら最後まで終わってしまうような、目が離せない映画になったと思っています!
――本作ではよく知られているスパイダーマンと、主人公マイルスの新生スパイダーマン、それから別次元のスパイダーマンが登場しますが、それぞれのキャラクターごとに気をつけたことはありますか?
若杉氏:1人1人のキャラクターの性格やスタイルなど、キャラクターによって動きの種類が違うので、どうやって個性を出すかは考えました。
――キャラクターの動きはアニメーターが考えるのですか?
若杉氏:CGアニメの場合も通常のアニメと同様に絵コンテがあるのですが、監督からの指示はざっくりとこういう感じの映像が見たいというだけです。監督とアニメーターが全体的なビジョンを話して、それをどうすればうまく伝えられるかを考えていきます。
――監督の指示通りに作るのではないということですね
若杉氏:はい。具体的な指示があるわけではなく、ある程度こちらに任される感じで、どういう動きにするか、どういう表情にするかのアイデアを出して、自由に作り、それを監督に見せる形です。もちろんすんなりOKが出るものもあれば、直しがくるものもあります。基本的には自分たちが自由に作って進めます。
――リテイクは多いですか?
若杉氏:自由に制作するといっても、完成した形の映像を見せるのではなく、少しずつ制作して監督に意見をもらいながら仕上げていきます。だいたい5、6回のチェックが入りつつ完成を目指します。
――監督とは直接コミュニケーションするのですか?
若杉氏:はい。監督とのミーティングは毎日あります。制作した映像を見せるのは毎日見せる必要はなくて、自分のタイミングで見せればいいのですが、監督と直接話せる機会が毎日あるので、少しずつ見せながらというスタイルです。