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NASA探査機が捉えた冥王星クレーター写真が解き明かす、カイパーベルトの謎

2019年03月03日 11時55分更新

文● Erin Winick

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米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ニューホライズンズ(New Horizons )」がとらえた冥王星と、その衛星カロンの写真から、カイパーベルト(Kuiper Belt)の謎が解かれつつある。

カイパーベルトは、海王星の外側に存在する、小さな氷状の天体で満たされた領域だ。地球から非常に遠い距離にあり、小さな物体は見分けるのが困難であるため、カイパーベルトを構成する物体についてはよく分かっていない。しかしながら、冥王星は長い年月にわたって数多くのカイパーベルトの小さな物体と衝突しており、ベルトを構成する物体の典型的なサンプルが存在している。

サイエンス(Science)誌に3月1日付で掲載された研究では、ニューホライズンズが2015年に冥王星とカロンのそばを通過した際に撮影した写真を調べて、カイパーベルトを構成する物体の数々のさまざまな大きさを推定している。2つの星の表面の写真からは、13キロメートル以下のクレーターが少ないことが判明した。冥王星は地質的に変化しているが、カロンは比較的変化が少ないため、クレーターが消滅した可能性は低い。カロンにある13キロメートル程度のクレーターは幅2キロメートル程度の物体で作られたものなので、カイパーベルトにはそれより小さな物体が少ないことが示唆される。

なぜ、カイパーベルトの氷の岩の大きさが問題になるのだろうか?これらの物体の情報からは、太陽系の8つの惑星がどう形成されたかの手がかりが得られるのだ。「1つの例を挙げると、カイパーベルトの形成過程は、火星と木星の間の小惑星帯の形成過程とは異なることが分かります」と、論文の主執筆者であるケルシー・シンガー博士は述べている。「おそらく、小惑星帯を構成する物体は、カイパーベルトの物体よりも小さいものが多いでしょう。小惑星帯の物体は数多くの衝突を経て、大きな物体が小片に分解されているからです」。

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