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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第249回

インターネット上のサービスは誰のためのサービス?

2019年02月28日 09時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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 FacebookとGoogleが、AppleのiOSに用意されている「Developer Enterprise Program」の仕組みを通じて、社外の人にアプリを配布して個人情報の提供を受け、月額およそ20ドルを支払っていたことがわかりました。

 このことが発覚すると、Appleは規約に反するとして、2社のアカウントを通じて行なわれる、すべて社内向けアプリの配布をストップさせました。その後、対象となるアプリが削除され、その機能は回復しています。

iOS端末には、社内専用アプリやテスト途中のアプリをApp Storeを通じないで配布するためのプログラムが用意されています。このプログラムを流用して、調査アプリを社外の人に配布し、情報収集に用いていた疑惑が持ち上がりました

社内用アプリの配布の仕組みを用いて個人情報を収集
FacebookとGoolgleの動きを止めたかったApple

 Developer Enterprise Programによるアプリ配布は、iOS上に用意される「App Storeの審査を回避してアプリを配布する方法」です。主に企業の中で使われたりテスト段階のアプリは、広く一般にアプリが配布されるわけではないため、こうした方法が用意されています。

 今回の規約違反は、Appleが考えるアプリ配布の範囲を超えていることが原因だったと見ることができます。しかしそれ以上にAppleが素早く動いたのは、GoogleとFacebookのアプリの挙動も関係していたと思われます。

 GoogleはScreenwise Meterというパネル調査アプリを、iPhone、Android、Chrome(ブラウザ)に用意し、一般の人にこれらへの参加を呼びかけ、見返りに月20ドルを支払っていました。このScreenwiseプログラム自体は2012年からChromeエクステンションとしてスタートしていました。FacebookはFacebook Researchアプリで同様の調査をしています。

 これらのアプリを使うことで、ウェブ検索、位置データ、プライベートメッセージといったユーザーのデータにアクセスすることが可能になり、調査データとして収集することができるようになります。この個人情報がiPhoneから企業によって取り出される点は、Appleにとっては重く問題視する材料になります。

 2018年に発覚したFacebookのCambridge Analyticaのスキャンダル以降、Appleはユーザーのプライバシーを重視する初弁を繰り返し、個人情報でビジネスを行う企業を批判してきました。

 もちろん今回のアプリによる情報の収集はAppleによって集められたものではありません。しかしAppleとして、iPhoneからユーザーの詳細な行動データが取得されていることを放置できないという考えが透けます。

 確かにAppleは個人情報を生かした広告ビジネスは展開していませんが、FacebookやGoogleのトップによる議会証言を見てもわかるとおりに、米国であっても、多くの人々はそこまでテクノロジーの「仕組み」に明るいわけではありません。つまり、この件で言えば、Appleは悪くないという理解が確定しているわけではないのです。

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