サムスン電子につづき、ファーウェイからも折り曲げ可能なディスプレーを搭載し、しかも5Gに対応したスマートフォン「HUAWEI Mate X」が登場した。このHUAWEI Mate Xはどのような経緯で開発されたのか、また今後のスマートフォン事業の海外展開はどうなるのか。ファーウェイのコンシューマービジネスグループCEO、リチャード・ユー氏に話を聞いた。
5Gの性能を活かすには小さな画面では不十分
軽さと薄さのためにディスプレーが外側で曲がる構造を採用
――HUAWEI Mate Xはどのような経緯で開発されたのでしょうか?
ユーCEO(以下、同) 仕事でメールを使ったり、エンターテインメント用途に使用したり、そしてSNSに日々アクセスするなど、消費者がスマートフォンを使う時間は年々長くなっています。しかしスマートフォンを使う時間が長くなればなるほど、小さな画面への不満が高まります。ユーザーのスマートフォン体験を高めるために、画面サイズの限界を打ち破ることのできるまったく新しい製品を開発しようと考えたのです。
また5Gの商用化に目途がつき、間もなく誰もが5Gを使えるようになります。高速で低遅延という特性を持った5Gを使うには、画面の小さな端末ではそのメリットを十分味わうことはできません。かといって、(単純に)ディスプレーサイズを大きくしては持ちにくくなってしまいます。
「大画面」「持ちやすい形状」、この相反する条件を実現するにはどうすればいいか、その結果がフォルダブル、折りたたみ型ディスプレーの採用だったのです。
――HUAWEI Mate Xのディスプレーの開き方は(ディスプレーが外側になる)山型ですが、他社は反対の谷型に折るディスプレーを採用しています。この開き方はどうして採用したのでしょうか?
実は初期の開発時はどちらの形状もテストを行っていました。谷型に折り曲げるほうが技術的には容易ということもわかりました。しかし我々は山型を選んだのです。実は谷型の場合は、ディスプレーが厚くなり、その結果本体の重量も重くなってしまいます。それに対して山折りの場合は薄さと軽さを両立できます。しかもディスプレー面を大きく取れるうえに、カメラを1ヵ所にまとめることができるというメリットがあります。
――HUAWEI Mate Xの発売は5Gの商用化に合わせ、2019年半ばとのことです。4G版も開発しそちらを先に出すことは考えなかったのでしょうか?
HUAWEI Mate Xの開発期間は約3年です。ただ画面を開けるスマートフォンとして開発したのではなく、生活の利便性を高めることのできる製品として進めました。たとえば、フォルダブル形状にしたのはバッテリーを左右に搭載することで容量を増やせる利点もあるからです。
この開発の期間中に5Gの技術が進み、発売の時期と商用化のタイミングが一致しました。5G時代に4Gと同じデザインのスマートフォンでは消費者の興味を引き付けることもできません。5G時代には革新的な端末をぜひ出したいと考えたのです。
5Gは帯域幅が広がることで、高精細な動画もストリーミングで見ることができます。そんな5Gの価値を味わえる製品としてもHUAWEI Mate Xを開発しました。
そのため今すぐに4G版として発売するのではなく、まずは5G端末として安定して使えるようにチューニングを進め、5Gのネットワーク環境下で5Gまたは4G端末として使っていただきたいと考えています。
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