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1万円以下の激安APU「Athlon 220GE/240GE」はどこが変わったのか?

2019年02月13日 11時00分更新

文● 著者:加藤勝明 編集:Kei-D

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上位モデルになるほど息切れする

 以上のようにAthlon3兄弟の性能はCPUクロックなりのものであるという事は分かったが、クロックが増えた分発熱はどの程度増えたのだろうか? そこでOCCTのPower Supplyテスト実行中に「HWiNFO」を利用してCPU温度等のデータを追跡したのが下のグラフだ。CPU温度のほかに“CPU Package Power”および“CPU + SoC Power”も比較する。

高負荷時のCPU温度の推移

高負荷時のCPU Package Powerの推移

高負荷時のCPU+SoC Powerの推移

 まず上位モデルになるほど高負荷時の発熱も増える。Athlon3兄弟に同梱されるクーラーは全て同じものだが、上位モデルになるほどクーラーの限界に近づく。240GEと200GEの差は300MHzしかないが、CPU温度は約10℃もの差がつくのは少々驚きだ。高性能クーラーを装着すれば問題ない話だが、それはAthlonの安さという武器を否定するチョイスでもあるし、Athlonでそもそも全力運転するような運用にするか疑問だ。

 実用上問題のない冷却力ではあるが、上位モデルになるほど超高負荷前提の運用は苦手である、と考えた方がよいだろう。そしてもうひとつ、上位モデルになるほど低クロック動作への移行タイミングが早まる、という点だろう。最終的にはCPU温度が60℃前後、CPU Package Power 15W近辺になるように集束してゆく。また、CPU+SoC Powerの推移を見る限り、240GEと220GEの差は200GEと220GEの差の目測でおおよそ2倍になっている……。

 つまりCPUコアクロックの差がそのまま現れている。Athlonの上位モデルは発熱や電力消費のをクロックにまわしてはいるものの、その余裕は長続きしないと言ってよいだろう。

まとめ:コスパ面では200GEを上回れていないが、ちょっと性能が欲しい時には良い選択

 以上で簡単ではあるがAthlon 220GEおよび240GEの検証は終了だ。CPUコアクロックが上がったが、劇的にパフォーマンスを変化させるものではない。松竹梅と定食があった時に、ちょっと今日は贅沢をしたいから梅定食を竹定食にする程度の気分で選んでよい製品といえる。

 上位モデルになるほど標準装備のクーラーでは高負荷時の冷却が厳しくなるため上位モデルほどコスパは悪化するが、Athlonで全コアに超高負荷をかけるような運用をするなら、素直に物理コアの多いRyzenを選ぶべきだ。発熱や消費電力は考えず、ライトに使いたい人のための製品といえるだろう。

●関連サイト

(提供:日本AMD)

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