このページの本文へ

1万円以下の激安APU「Athlon 220GE/240GE」はどこが変わったのか?

2019年02月13日 11時00分更新

文● 著者:加藤勝明 編集:Kei-D

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

従来のAPUを用意して差を比較

 今回の検証環境を紹介しよう。比較対象としてAthlon 200GEとRyzen 3 2200Gを準備し、新たに追加された2モデルがどの程度速い/遅いか検証してみたい。また、CPUクーラーは各CPUのものを利用し、メモリークロックは各CPUの定格に合わせて運用する。

【検証環境】
CPU Ryzen 3 2200G、Athlon 240GE、Athlon 220GE、Athlon 200GE
マザー ASRock B450M Pro4(AMD B450)
メモリー G.Skill F4-3200C14D-16GTZR(DDR4-3200 8GB×2、DDR4-2666または2933で運用)
グラフィック CPUに内蔵
ストレージ インテル SSDPEKKW512G7X1(M.2 NVMe SSD、512GB)
電源ユニット Silverstone ST85F-PT(850W、80PLUS Platinum)
OS Windows 10 Pro 64bit版(October 2018 Update)

ほぼクロックの差通りのスコアー

 では「CINEBENCH R15」でCPUパワーのちから比べをしてみよう。前述の通りCPUのコアクロック増のみで製品を構成しているため、このテストが一番判断しやすいといえる。

「CINEBENCH R15」のスコアー

 4コア4スレッドのRyzen 3 2200Gにはまだ届きそうもないが、同じAthlonで比べてみると、クロックが上がった成果はキッチリと出ている。マルチスレッドでは200GEと220GEの差の方が220GEと240GEの差よりも大きいが、シングルスレッドでは220GEと240GEの差が微妙に大きいという違いは見られたものの、全体から見れば微々たるもの。クロックが増えただけ性能が上がっている、という結論で良いだろう。

 では消費電力はどうだろうか? ということでラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を利用しシステム全体の消費電力を計測してみた。システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、「OCCT Perestroika v4.5.1」の“Power Suppyly”テストを10分回した時の最大値を“高負荷時”とした。

システム全体の消費電力

 こちらでもクロックが上がった分消費電力も順当に増えている。実に素直な結果になっているといえるだろう。一番クロックの高い240GEでもACアダプター電源で十分養えるのはありがたい話だ。

 では具体的にどんな分野でこのクロック差が効いてくるのかを「PCMark10」を利用してチェックする。全てのテストグループを実施する“Extended Test”を回し、総合スコアーのほか、各テストグループ別のスコアーも比較する。

「PCMark10」Extended Testの総合スコアー

 まず総合スコアーの比較だが、Ryzen 3 2200Gがダントツで高く、Athlonはずっと下がってしまうのはCINEBENCHと共通といえる。

「PCMark10」Essentialsテストグループのスコアー

 アプリ起動やビデオチャットというライトユーザー向けのタスクを扱うEssentialsテストグループでは、Ryzen 3 2200GとAthlon3兄弟の差はぐっと縮まる。クロックの高いモデルほどスコアーが高くなるのは当然だが、200GEと240GEのスコアーは6~7%増しといったところ。

「PCMark10」Productivityテストグループのスコアー

 表計算およびワープロ作業を扱うProductivityテストグループでも傾向は似たようなものだが、220GEと240GEの差が小さい。240GEはクロック100MHz増という微妙な刻みでなく、潔く200MHz増にした方が良かったのではないか……とも思える。

「PCMark10」Digital Contents Creationテストグループのスコアー

 写真や動画編集、CG作成といったパワーを食う処理の集中しているDigital Contents Creationテストグループでは、Ryzen 3 2200Gが圧倒的に強い。Athlon3兄弟もクロックなりのスコアー差がついているが、この分野の用途が中心なら、そもそもAthlonを選ぶべきではなく、素直に上位のRyzen Gシリーズを選ぶべきということが分かる。

「PCMark10」Gamingテストグループのスコアー

 最後はGamingテストグループ。CPUとGPUのスペックの高いRyzen Gが強いのはテストをする前から明らかだが、Athlon3兄弟のGraphicsスコアーにほとんど差がない点に注目。GPUのスペックが同じなら、得られる描画パワーもほぼ一緒。微妙に差がついているのはCPUのクロック差によるものだ。

「3DMark」を利用してもう少し総合的なグラフィック性能を掘り下げてみよう。

「3DMark」のスコアー

 今回は内蔵GPUしか使わないので軽めの“Night Raid”と“Sky Diver”でも検証してみたが、意外なことに一部テストでは240GEより220GEの方が高スコアーが出ることも観測された。

 220GEと240GEは100MHzCPUコアクロックが違っただけなので、計測誤差に埋もれてしまうということと、CPUのクロックが高いためTDP的にGPUの足を引っ張るという原因が考えられる。このベンチで見る限り、グラフィック描画性能的には、220GEが一番コスパが高いといえる。

カテゴリートップへ