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NASAの探査機が史上初、カイパーベルト天体の近接撮影に成功

2019年01月03日 00時16分更新

文● Niall Firth

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NASA(米航空宇宙局)の探査機「ニューホライズンズ(New Horizons)」は、地球から約64億キロメートル離れたところにあるピーナツに似た形状の宇宙の岩石、ウルティマ・トゥーレ(Ultima Thule)から3500キロメートルの地点まで到達した。

今回のフライバイ(接近通過)は、2019年1月1日12時33分(米東部標準時)に実施された。ただし、 ニューホライズンズは地球から遠く離れているため、ジョンズ・ホプキンズ大学応用物理研究所(APL)の宇宙管制センターにデータが届くまでに6時間程度かかる。チームは観測の妨げにならないようにデータ送信を遅らせていたため、観測が終了して10時間余り経ってから、任務成功のメッセージを受け取った。ニューホライズンズは時速51万キロという速さで移動しており、(成功を祝う冒頭の写真のアラン・スターン博士が率いる)NASAチームは、ウルティマ・トゥーレのクローズアップ写真を1枚しか得ていない。

ウルティマ・トゥーレは「カイパーベルト(Kuiper Belt)」を構成する天体の1つだ。カイパーベルトは、氷や小さな惑星状の天体の不思議な塊が集まる大規模な領域で、海王星のはるか先、冥王星からさらに16億キロ離れたところにある。ウルティマ・トゥーレを初めて撮影した写真は不鮮明だが、同天体は回転しているようで、長さ約35キロメートル、幅14.5キロメートルで、ピーナッツのような形をしていることが分かっている。ウルティマ・トゥーレが、互いに近接して周回する2つの天体である可能性もわずかに残っているが、AP通信によるとその可能性は低い考えられている。ウルティマ・トゥーレという名前は、古代の地図製作者の言葉で 「最果ての地」を意味する。

1月2日にはもう少し鮮明な画像が届けられるはずだが、より鮮明な画像が届くのは、今月下旬か2月上旬以降となる見込みだ。すべてのデータがダウンロードできるまでには2年近くかかるだろう。ニューヨーク・タイムズ紙は、ニューホライズンズがウルティマ・トゥーレに接近する際に撮影した素晴らしい写真の数々を掲載している。

ニューホライズンズは12年前にフロリダ州ケープ・カナベラレルから打ち上げられた。3年半前には、これまでで最高の冥王星の姿を届けてくれた。そして今、ミステリアスな天体であるウルティマ・トゥーレの観測に着手した。NASAチームは、ニューホライズンズの任務を拡大し、2020年代に、カイパーベルト内にある他の神秘的な天体も探査していきたい構えだ。オシリス・レックス(Osiris Rex)探査機も、昨年12月31日に小惑星ベンヌ(Bennu)近くの軌道に入ったばかりで、2019年はNASAにとって慌ただしいスタートとなった。

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