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従量課金型とリース型のハイブリッドで提供「Lenovo TruScaleインフラストラクチャーサービス」

レノボ、月額払いのオンプレミスハードウェア調達モデルを開始へ

2018年12月04日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 レノボ(レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ)が、同社製データセンターハードウェアの新たな調達モデルとなる「Lenovo TruScale Infrastructure Services」を、まもなくグローバルで提供開始する。オンプレミスに設置されたサーバーやストレージなどのリソースを、月額払いで利用可能にするサービスだ。クラウドライクな従量課金型とリース型の“ハイブリッド”になるという。

 このTruScale(トゥルースケール)のサービス詳細や顧客にとってのメリット、レノボとしての狙い、さらに競合他社が提供する同種サービスとの違いなどについて、来日したレノボ データセンターサービス担当幹部のローラ・ラットレロ氏に話を聞いた。

レノボ データセンターサービス担当VP&GMのローラ・ラットレロ(Laura Laltrello)氏

リース型と従量課金型のハイブリッドで提供する月額払いモデル

 TruScaleインフラストラクチャーサービスは、レノボが提供するすべてのデータセンター製品(サーバー、ストレージ、ネットワーク、アプライアンス)に対して適用できる“HWaaS(HardWare-as-a-Service)”である。月額払いモデルのため初期導入費用を抑えて最新機器が導入できるほか、オンプレミス環境のため顧客独自のセキュリティポリシーも適用できる。なおシステム設計や構築/導入作業は、顧客の要件に応じてレノボ側で実施する。また後述するとおり、稼働状況の継続的な監視や保守サポートもレノボが行う。

 TruScaleを簡単に言えば「月額払いでデータセンターハードウェアを利用できるサービス」となるが、顧客企業の利用形態に応じて、従来のリース型とクラウド風のコンサンプション型(従量課金型)の課金体系を“ハイブリッド”で組み合わせ、適用できるのが特徴だ。ラットレロ氏は次のように説明する。

 「必要なリソース量の変動が少ないワークロードには『固定容量コスト(リース型)』を、リソース量の変化が予測できないワークロードには『可変使用コスト(従量課金型)』を適用すればよい。両者の組み合わせ比率は、顧客の利用形態に応じて柔軟に設定できる」

「Lenovo TruScaleインフラストラクチャーサービス」は、固定容量コスト(リース型)と可変使用コスト(従量課金型)を柔軟な比率で組み合わせ、月額払いでオンプレミスハードウェアを利用できる

 可変使用コストの部分は、Lenovoのデータセンター製品が搭載するハードウェア管理専用エンジン/ツール「XClarity(エクスクラリティ)」の技術を用いて、サーバーの持つハードウェアキャパシティをどの程度消費したのか(使ったのか)を正確に測定して算出する。ソフトウェアエージェントをインストールするのではなく、いわば“外側”からハードウェアレベルで計測する独自技術のため、顧客ワークロードに影響を与えないこと、またセキュリティ的な懸念も生じないことが特徴だとラットレロ氏は説明する。

 計測したハードウェアリソースの使用量は、専用ポータルを通じてリアルタイムに可視化される。もちろん顧客側でも使用状況をチェックできるが、TruScaleでは顧客専任の担当者(カスタマーサクセスマネージャー)が稼働状況をリモートでモニタリングして、プロアクティブな(積極的な)保守サポートサービスを提供するという。

 「SLA(サービスレベル保証)付きのサービスを実現するために、TruScaleでは従来とは少し違うかたちで保守サポートを提供する。これまでは顧客側からの問題報告を受けてから保守サポートを提供していたが、TruScaleではわれわれ(レノボ)の側から監視を行い、問題を特定して対処する」

顧客向けポータル画面。データセンターリソースの使用状況のほか、資産詳細やログなども可視化する

SLAを定め、レノボ側からプロアクティブな保守サポートを提供

 上述したとおり、TruScaleは一定のSLAを定めて提供されるという。SLAを維持できるようレノボ側で保守サポートを行うため、たとえば導入したハードウェアの故障や更新についても「顧客CIOは心配する必要がない」とラットレロ氏は述べる。

 「オンプレミス環境に対する顧客の懸念は、彼ら自身で(更新や故障対応などの)メンテナンス作業をしなければならないということ。だが、それがクラウドサービスならば、誰も『このサーバーは何年使われているのか』などと心配したりはしないだろう。われわれはクラウドと同じこと(使い勝手)をオンプレミスで実現したい」

 保守サポートなどの月額基本料金に当たる「ベース・プログラム・コスト」こそあるものの、TruScaleでは最低契約容量(Minimum Commitment Capacity)を設定していない。一方、市場で先行するHPEの「GreenLake」サービスでは最低契約容量(つまりTruScaleの固定容量コストに相当するもの)が定められており、ラットレロ氏は「(GreenLakeは)実際には、リース型サービスに少しの可変部分を組み合わせたサービスだ」と指摘したうえで、“100%可変コスト”扱いにすることもできるTruScaleの優位性をアピールした。

 TruScaleのターゲット顧客は、大規模なエンタープライズ顧客だけではないという。すでに何件かの契約がまとまっているが、中にはSMB(中小規模)の顧客もいるという。またSIベンダーもターゲット顧客であり、TruScaleで提供するハードウェアに独自のアプリケーションやサービスを載せ、再販するようなケースも想定していると語った。

 なお、TruScaleの日本市場における提供開始は、ポータル画面のローカライズなどを行ったうえで2019年前半からとなる見込み。

企業CIOの懸念や負担を軽減し、イノベーションや戦略策定に注力してほしい

 今回レノボがTruScaleを提供開始する理由について、ラットレロ氏は「『クラウドの将来性(先進性)』と『オンプレミスの利点』の両方を提供することで、企業CIOの懸念や負担を軽減することができると考えたからだ」と答えた。

 現在のCIOには「業務アプリケーションの運用維持」という従来からの役割に加えて、「イノベーションや新たな戦略の実行」の役割も求められている。この両方の役割を担うために、CIOは2倍の働きをしなければならないのだろうか。そうではなく、ラットレロ氏は「これまでとは違ったやり方を考えるべきだ」と語る。そこで提案するのがTruScale、というわけだ。

 「CIOに『サーバーの修理』と『新たな事業戦略の策定』の両方をやらせることはできない。それならばITインフラ(運用)の簡素化を図るべきだ」「CIOにはイノベーションの創出が求められているのに、使っているのは古いテクノロジーであり、新しい技術スキルも持っていない」

 インタビューの最後に、「将来的にはこういうかたちでのIT導入モデルが標準になると考えるか」と尋ねてみた。

 「わたしはそうなると思う。すでに映画や音楽、衣服ですらサブスクリプションモデルへと移行し始めている。データセンター市場もきっと同じだろう」

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