2011年にスペースシャトル計画が終了して以来初となる、米国の国産有人宇宙船が国際宇宙ステーション(ISS)に向かうのは2019年の予定だ。
米国航空宇宙局(NASA)は11月21日のブログ記事で、民間企業であるスペースXとボーイングが2019年に実施するISS行き商用ミッションのタイムラインを発表した。宇宙飛行士輸送用に設計されたカプセル「スペースX・クルー・ドラゴン(Crew Dragon)」の最初の無人飛行試験(デモ1)は、1月7日に打ち上げ予定となっている。NASAの宇宙飛行士2人をクルー・ドラゴンで運ぶ有人飛行試験(デモ2)は、2019年6月を予定している。
NASAが、ボーイングとスペースXによる有人飛行計画の実施を急かしているのは、ロシアのソユーズ宇宙船への依存を解消したいからだ。というのも、 NASAがソユーズを使える期限は2019年11月までとなっており、ほとんど時間が残されていないのだ。NASAがそれまでに宇宙船を用意できなければ、NASAの宇宙飛行士は誰ひとりISSに行くことができなくなる。
最新のスケジュールを見ると、少なくとも計画が慌ただしいものであることが分かる。米国会計検査院(GAO)が2018年7月に出したレポート(PDF) では、スペースXかボーイングが有人飛行の準備を完了できるのは、2020年初頭以降と見積もられていた。
2019年1月のデモ1飛行試験後、スペースXは緊急脱出試験を無人で実施する必要がある。この試験は、上昇中のロケットに何らかの事故が発生した際にクルー・ドラゴンをロケットから安全に切り離せることを確認するためのものだ。すべてが計画通りに進めば、2019年6月のデモ2飛行試験で、 NASAの宇宙飛行士ボブ・ベーンケンとダグ・ハーレイがスペースXの宇宙船に乗り込む。2011年のスペースシャトルの最終飛行以来、初めて米国の国土から宇宙飛行士が飛び立つことになる。2人が飛び立つのはアポロ計画で使われた発射台と同じ発射台からだ。一方、 ボーイングが開発中の有人宇宙船「スターライナー(Starliner)」は、2019年3月に無人で軌道飛行試験を実施した後、8月に3人の宇宙飛行士が乗り込んで飛行試験を実施する計画だ。