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企業ITインフラの現状と将来計画を調査、20カ国中最下位の日本企業に「2025年の崖」の警鐘

なぜ日本企業はITインフラ変革で後れを取るか、Nutanix調査

2018年11月15日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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日本企業の経営者は「ビジネス変革のためのIT戦略」を考えているか

 ただしコザップ氏は、ハイブリッドクラウド化の遅れについてより注視すべきなのは、企業のビジネス戦略、デジタルトランスフォーメーションにおけるIT/テクノロジーの位置付けだと指摘した。今回の調査で「自社がビジネス成功のためにITを戦略的に考えている」という問いに対して、世界平均では約半数の47%が「強くそう思う」と答えているが、日本企業は29%にとどまっている。

 「自社のビジネス変革を成功させるために積極的なIT戦略を考えている企業が、わずか3割しかいない。これが、日本企業に関する調査結果全体の基調をなしていると考える」(コザップ氏)

「ビジネス成功のためにITを戦略的に考えている」と強く思う日本企業の割合はわずか29%。日本企業が後れを取る背景にはまずこれがある、というのがコザップ氏の見解

 なお、ハイブリッドクラウドに限らず、新領域のIT/テクノロジー群が自社ビジネスに影響していると回答した日本企業の割合も世界平均とは大きな開きがあった。ポジティブに捉えれば「こうした技術をいち早く活用すれば大きな差別化要因となり、ビジネスチャンスが生まれる」(コザップ氏)とも言えるが、それはあくまで日本市場の中だけを考えた話である。テクノロジー、デジタルトランスフォーメーションに対する経営者の意識が、今後の命運を分けると言っても過言ではないだろう。

日本企業では「新たなITトレンドが自社ビジネスに影響を与えている」という危機感も薄い

 そのほか同調査では、日本企業のおよそ7割が「現在の自社ITインフラは要件を満たしていない」と考えていること、ワークロードの実行場所を決定する要因の上位は「セキュリティ」「ガバナンス」「総所有コスト(TCO)」であること、ITスキル人材は社内でも市場でも払底しており73%が雇用に苦労していること、などが明らかになっている。レポートは同社サイト(本文末「関連サイト」リンク)からダウンロードできる。

レガシーシステムが企業のDX実現を阻む、経産省「2025年の崖」レポートの指摘

 ニュータニックス・ジャパンの河南敏氏は、経済産業省「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」が今年9月に発表したデジタルトランスフォーメーション(DX)に関するレポートを取り上げ、このレポートが強い危機感とともに指摘する「2025年の壁」をどう克服していくか、Nutanixとしてそれをどうサポートできるかについて説明した。

 「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」と題されたこのレポートでは、多くの経営者がDXの必要性を十分に理解していながらも、サイロ化/ブラックボックス化したレガシーな基幹業務システムが「技術的負債」として存在し続けることでDX実現の妨げとなり、2025年には国際的な競争力を失い、2030年までに「年間最大12兆円の経済損失」を生むというシナリオが描かれている。結論は「2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要がある」というものだ。

レガシーシステムの存在が「技術的負債」として日本企業のDX実現を阻み、2025年以後の競争力喪失を生むと警告(経産省「DXレポート」より)

 同レポートについて河南氏は、日本企業がこの問題を解消し、DXを実現していくために、企業とITベンダーの双方が同じ方向を向いて取り組むべきであること、その中ではITインフラに対する考え方もよりクラウド志向に変えていくべきであることが述べられていると説明する。

 そしてNutanixでは、同レポートでベンダーに求められている取り組みのいくつかを手がけていることを紹介した。たとえば「共通プラットフォーム化」については、それを実現するプライベートクラウド/ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の基盤ソフトウェア「Nutanix Enterprise Cloud OS」を提供している。またクラウド利用時の懸念事項であるセキュリティ対策、ガバナンスについても、「Beam」や「Frame」などを提供していると紹介した。

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