「モダンワークプレース」――。直訳すれば“現代的な仕事場”となるが、マイクロソフトの言うところのモダンワークプレースとは、ITの力で働き方を多様化し、いつでもどこでも仕事ができるようにしたものだ。その核となるのが「Microsoft 365」だと、来日したMicrosoft 365の担当者は語った。本稿では日本マイクロソフトが2018年11月6日に品川本社で開催したメディア向け説明会の様子を交えながら、モダンワークプレースを実現するMicrosoft 365の立ち位置を紹介する。
Microsoft 365は、Windows 10、Office 365、EMS(Enterprise Mobility + Security)を組み合わせたソリューションだ。このMicrosoft 365とモダンワークプレースの関係について、Microsoftは、「生産的な体験を生み出すため、個人の可能性を広げることが重要。だが、サイバー脅威に対抗するための防御も欠かせない。両者を担保するMicrosoft 365というソリューションで、ワークプレースは変貌する」(Microsoft General Manager for Microsoft 365, Catherine Boeger氏)と説明した。
昨今のMicrosoftはまた、Microsoft Teamsを中心としたビジネス向けコラボレーション(共同作業)にも注力してきた。Teamsは、Skype for Businessの機能や、自宅からビデオ会議に参加するケースを想定して背景をぼかす「Background Blur」機能を取り込むなど日々進歩している。Microsoftによれば、Teamsはすでにグローバルで32万9000の組織に利用されており、Fortune 100の87社が採用済みだとする。
オーストラリアのカンタス航空は、Microsoft 365 Enterprise、Teams、Yammerを使い、旅客機上の課題を地上の事務局とYammerで共有。同じ課題に遭遇した他の乗務員の対応を改善することで、顧客満足度を大きく高めた。
米国のタイヤ&ラバー企業であるグッドイヤーは、Microsoft 365を導入し、役割や物理的に地域が異なる分散したチーム活動を一元化。工場ではMicrosoft AzureがIoTセンサーから取得した情報を機械学習で分析し、予兆保守に用いている。
このように世界で利用が広まりつつMicrosoft 365だが、日本のデジタル化は大企業こそ推進しつつあるものの、全国の企業の99.7%を占める中堅中小企業までは浸透していないと言われている。MicrosoftはMicrosoft 365 Businessという中堅中小企業向けエディションも用意しているが、そこでの課題は机上でPCを使うホワイトワーカーではなく、現場で働くファーストラインワーカーの存在だ。
Microsoftはスケジュールやタスク管理、コミュニケーション、トレーニング、ID管理などに機能を限定したOffice 365 F1を用意し、本社と現場の連携場面でも、モダンワークプレースの実現を目指している。Microsoftは「意思決定の円滑化と個人への支援を加速させるには、まず情報をクラウドへ移行させること。そこで必ずビジネスの成果は得られる」(Boeger氏)と述べた。