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脊髄損傷で下半身麻痺の患者、電気刺激で歩行に成功

2018年11月07日 08時55分更新

文● Karen Hao

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脊髄に重傷を負った3人の男性が、電気刺激による部分治療を受けて、数年ぶりに歩けるようになった。

脊髄損傷は、運動機能の大幅な低下や完全な足の麻痺を引き起こす。新たにネイチャー誌ネイチャー ・ニューロサイエンス誌に発表された2つの論文では、3人の男性患者の損傷した脊髄に電気刺激装置を埋め込んだという。患者らは全員、部分的または完全に下腿部を麻痺しており、刺激装置は歩く足取りに合わせて電気パルスを送り込んだ。

患者は下肢と足に一連のセンサーを装着し、歩き始めるとセンサーが無線で電気刺激装置に信号を送る仕組みだ。1週間も経たないうちにトレッドミル(ベルトに乗って歩く装置)をやめて、電気刺激を受けながら地面を歩けるようになった。そして数カ月後、電気刺激をまったく受けずに歩く能力を回復したのだった。

論文著者らは、(電気刺激装置の)埋め込みによって適切な部分に適切なタイミングで電気パルスを送ったことが成功理由だと考えている。患者は信号が自分の脚から送られてくるように感じられる。これまでの同様の研究では、自らの脚だと知覚することが困難だった。

この論文は、9月にもう1歩前進した成果を収めている。それによると、麻痺を患う男性の体内に電気刺激装置を埋め込み、フットボール場の端から端まで歩くことに成功したという。数人の患者による成果が示されたことで、同様の神経テクノロジーの開発につながることが望まれる。

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