一般にセキュリティはユーザービリティと背反する関係にあると言われる。安全性を高めるため、認証などを厳密にすれば、そのぶんだけユーザーに複雑な手順を強いることになり、負担が増すということだ。
具体的には、業務システムごとに異なるID/パスワードを設定したり、そのパスワードも定期的に変更を強いられる……といったものがある。また、IDカードに関しても、用途やエリア別に複数枚を持ったり、紛失時には再発行や無効化の手間が生じる。
そんな中、注目を浴びているのが生体認証だ。指紋、光彩、静脈、声、耳音響など、人体の様々な要素を使った認証があるが、直感的に分かりやすいのはやはり「顔認識」だろう。これまでもOSにログインする際などに使われてきたが、最近ではスマートフォンでの応用が進んでおり、親しみやすい技術になってきた。
NeoFaceの応用範囲を拡大、他社の事務機器との連携も
NECは、そんな顔認証技術のひとつ「NeoFace」を長年にわたって開発してきた。米国国立標準技術研究所(NIST)の顔認証技術ベンチマークテストで、4回連続の第1位評価を獲得するなど、高い認識精度を持っているとのこと。
すでにパソコンのログイン(NeoFace Monitor)や、セキュリティゲート(NeoFace Access Control)などに応用した製品が投入されている。このNeoFaceを軸にして、オフィス内における働き方の効率化や利便性の向上を図るのが「顔認証ソリューション for オフィス」だ。
顔情報を共通利用できる、新発売のサービス「NeoFace顔情報マネジメントサービス」に加え、上述のNeoFace Monitor、NeoFace Access Control、そしてこれらの導入を容易にする「NeoFace 顔認証システム導入セット」をパッケージ化して、オフィス向けに提供するものとなる。
これにより、スマートロックやセキュリティゲートと連携した「入館/入出管理」から、パソコンや業務システムへの「ログオン」、そしてオフィス複合機と連携した「印刷時の認証」など、一連の作業がカメラに顔を向けるだけで利用可能となる。複数の認証手段を顔認証に統一することで、従業員の業務を軽減できるという触れ込みだ。
加えて「顔認証ソリューション for オフィス 構築支援サービス」を新規に開始。顔認証の導入に際してのコンサルティングや、システム運用開始後の保守サービスなどをメニュー化し、導入支援していくという。
照合用の顔画像や、個人識別用のID情報(顔情報)をクラウド上で一元管理。結果、複数の地点/用途の顔認証システム間で共通の顔認証が可能になる。またAPI連携を利用することで、外部の認証システムとの連携も可能となった。
「NeoFace顔情報マネジメントサービス」は月額5万円からで、10月25日から提供済み。「NeoFace Monitor」は1ライセンスあたり1万6800円(1年間の保守サポート付き)からで、12月12日。「NeoFace Access Control」(ファン付き/ファン無選択可)は120万円で、12月27日。「NeoFace顔認証システム導入セット」は最小構成価格48万6000円で、12月27日。「NeoFace Cloud GPS連携サービス」は月額2520円(10人までの登録)で10月30日に提供開始する。
NECでは、シーイーシー、フォトシンス、リコーなど55社のパートナー企業と顔認証連携ソリューションを推進中。「ソリューション開発プログラム/顔認証」を通じて、NeoFaceを活用したオフィス向け機器やサービスが各企業から順次登場するという。