家庭用のルーターの普及でユーザーは
IPアドレスを手動で設定する必要が無くなった
現在は、広く普及している家庭向けのインターネット接続用ルーターにDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバー機能があるため、PCにおいて手動でIPアドレスを割り当てる必要はまずなくなった。
しかしDHCPが普及する前の時代には、IPアドレスをコンピューターに手動で割り当てることは珍しいことではなかった。一般家庭でDHCPが利用可能になるのは、インターネットの常時接続が可能となったあたりから。それ以前は、ダイヤルアップ接続が主流だったため、インターネット接続ができるコンピューターは1台のみで、家庭内のネットワーク自体をインターネットに接続することが困難だった。もちろん、自力でLinuxやBSD系OSなどをPCに導入していれば困難ではなかったし、DHCPサーバーも動作させることができたが、一般的には敷居が高すぎた。
そういうわけで、一般家庭でDHCPが利用でき、PCのIPアドレスについて悩む必要がなくなったのは2000年前後で、ADSLなどにより一般消費者のインターネット常時接続が可能になった頃。IPアドレス割り当ての面倒な作業を知っているのは、少なくとも40代以上の方と思われる。
WindowsのTCP/IPには、こうした時代の名残が残っている。それは、自動プライベートIPアドレス機能。Automatic Private IP Addressing(APIPA)と呼ばれるWindowsの機能である。簡単に言えば、DHCPもなく、手動割り当てもない場合に、自動的にIPアドレスを割り当てるものだ。この機能があるため、WindowsではDHCPがないネットワークにPCを接続しても、少なくともWindows同士では通信が可能となり、ファイル共有などが利用できる。
APIPAは古い機能だが、その存在を知っていると、何らかの原因で自動でのIPアドレスの割り当てができないような場合にも、Windowsのネットワーク機能(の一部)を動作させることが可能になる。
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