さくらの熱量チャレンジ 第27回
ユーザー体験を向上する画像変換サービス、開発元と導入企業の4氏にそれぞれの思いを聞く
ピクシブ×さくらの「ImageFlux」はどのようにして生まれ、メルカリやBASEはなぜ採用したのか
2018年11月06日 08時00分更新
2018年9月25日、ピクシブとさくらインターネットの共催による「ImageFlux Meetup #2」が開催された。第2回となる今回は開催規模が拡大され、さくらインターネット大阪本社をメイン会場として、「ImageFlux Live Streaming」を使ったライブ映像で大阪/東京/福岡/札幌の4会場を結ぶかたちとなった。
今回のmeetupでは、ImageFluxのサービス立ち上げから開発、運営に携わってきたピクシブの道井俊介氏が登壇したほか、ImageFluxのユーザー企業であるメルカリの久保達彦氏、BASEの竜口朋恩氏も登壇し、Web/モバイルサービスの画像配信にまつわる課題やImageFlux採用の経緯、導入効果などを説明した。
本稿ではこのmeetupに合わせ、上述の3氏に加えてImageFluxの立ち上げに携わったさくらインターネットの秋元任泰氏にインタビューを行い、同サービス立ち上げの背景から各社での採用理由、ユーザー体験向上における効果などを聞いた。久保氏、竜口氏がmeetupで行った講演内容も含めお届けする。
ピクシブが“ユーザー企業の視点”で開発をスタートしたImageFlux
ImageFlux(イメージフラックス)は2016年12月に一般提供を開始した、Webサイトやモバイルアプリ向けの動的画像変換(リサイズ、画質調整、フォーマット変換など)および配信画像キャッシュのサービスだ。
ImageFluxの導入にあたっては、すでにオリジン画像が配置されているストレージを変更する必要はなく、ブラウザ/アプリが画像を読み出すURLをImageFluxのものに変更すればよい。このときURLのパラメーターで画像サイズやフォーマット、画質などを指定すれば、オリジン画像を動的に変換したうえで配信される。極めてシンプルな仕組みだ(詳細な機能説明は今年2月のmeetup #1レポート記事を参照いただきたい)。
まずはどのようにしてImageFluxが生まれたのか、なぜピクシブとさくらが協業することになったのか、その背景を尋ねてみた。
そもそもImageFluxは、ピクシブが社内向けに開発/提供していた画像変換サービスをベースに、大規模スケールにも対応できるよう強化されたサービスである。ピクシブ道井氏によると、社内向けサービスの開発は2015年初頭にはスタートしており、このサービスをさらに成長させることを目的に、2015年の中頃には社外への公開を模索するようになった。
「当初はOSS(オープンソースソフトウェア)としてリリースすることも検討していました。ただ、ソフトウェアとして提供しても、結局はユーザー企業の誰かがそれを動かすインフラの運用やメンテナンスをしなければなりません。さらには太いインターネット回線も自前で用意する必要があり、結局のところトータルコストはあまり下がりません。それならば、画像変換のすべてをカバーする『サービス』として提供したほうがいいのではないか。そういう結論に至りました」(道井氏)
多数のユーザーが共有するサービス、つまりSaaSとして提供すれば、ユーザーの利用コストを抑えられるだけでなく、インフラや技術開発への投資も増やすことができる。結果的にはピクシブ自身のサービス品質向上にもつながると考え、サービスとして社外提供することが決まった。
画像変換サービスには大きなニーズがあると見込まれたものの、ピクシブ単独でそれを運営、提供していくとすれば課題もあった。こうしたB2Bサービスを販売するノウハウや営業体制がないこと、また他社サービスを支える責任を負ったサービスとなるため、インフラの運用負担が重いことだ。この解決策を模索するうちに、ピクシブはパートナーとなるさくらインターネットと出会う。
2015年12月の両社初ミーティングを経て、翌2016年1月から、ピクシブとさくらによるImageFluxプロジェクトが始動することになる。
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