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同性による「子作り」に成功、中国チームがマウス実験で

2018年10月15日 09時48分更新

文● Antonio Regalado

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北京の研究チームは、幹細胞のマッシュアップとクローン技術を使い、同性の親2匹を持つマウスを誕生させたと発表した。

有性生殖には通常、精子と卵子が必要だ。それぞれが23本の染色体を持ち寄り、46本の染色体を持つ赤ちゃんが生まれる。

母親2匹を持つマウスを作るために、研究チームはまず、通常の半数の染色体(46ではなく23)しか持たないメスのマウス1匹から幹細胞を作り出した。次に、その幹細胞を1つの卵子に注入した。この幹細胞が精子の代わりとなり、健康な子ども数匹が誕生した。

実験に成功した中国科学院(Chinese Academy of Science)の研究チームは、研究内容を米科学誌「セル・ステム・セル(Cell Stem Cell)」で発表しており、かろうじて父親2匹のマウスを誕生させることにも成功している。ただし、父親2匹のマウスを誕生させるには追加の工程が必要で、生まれた子どもの中に健康な個体は1匹もいなかった。子どもたちは体が肥大し、舌が異常に長く、短命だった。

今のところ、同性の親を持つマウスの作製は、主に学術研究を目的としたものであり、 同技術を人間に応用することは目的ではない。

現在、この技術は非常に複雑であり、また、誕生した個体すべてが生存できたわけではない。ただ、今回の研究は、成果をあげることよりも、生殖そのものに関する知識を深めることが目的だったと研究者は語っている。今回のような無性生殖は、動物界の一部で行なわれるものの、哺乳類では起こりえない。研究チームは、哺乳類における無性生殖を成功させるためには、同性同士による生殖を常時阻止する遺伝子をはじめとする、複数の遺伝子の塊を除去する必要があることを発見した。

将来、この技術が成熟していけば、男性2人または女性2人が共同で子どもを作れるようになるかもしれない。しかし、それまでには一層多くの研究を積み重ねていく必要があるだろう。

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