このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ゲームプレイも滑らかでHDRの美麗映像が楽しめる「FreeSync 2」の魅力に迫る

2018年10月20日 11時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ASCII編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ディスプレーの表示を見やすくするAMDの技術が、「FreeSync 2」。これは従来のFreeSyncを進化させたもので、HDRに対応したほか、LFCという機能で低フレームレートでも見やすく表示してくれるというものだ。

 ……などという短い説明だけで理解できる人は少ないだろうし、そもそも「FreeSyncは聞いたことがあるけど、実はよくわかっていない」という人も多いだろう。最近見かけるようになった「FreeSync 2」について、もう少し詳しく説明していこう。

FreeSync対応のゲーミング液晶は数が多く、最近ではFreeSync 2対応の製品も登場。その数を少しずつ増やしてきている

「FreeSync」は描画と表示を自動で同期してくれる機能

 まずは「FreeSync」とは何か、というところからスタートしよう。PCの画面をディスプレーに表示するには、(1)PC内のグラフィック機能が表示する画面データを作り、そのデータをHDMIやDisplayPortから送信、(2)ディスプレーがそのデータを受け取って液晶面へと表示する、といった手順になっている。

 通常のディスプレーは、画面の「リフレッシュレート」(垂直同期)が60Hz前後。これは1秒間あたり60回画面を表示しているという意味で、上の手順でいえば(2)の部分にあたるものだ。ゲーミング液晶ではこのリフレッシュレートが144Hzなどと高速化されているため、速い動きがより滑らかに、そして低遅延で表示できるというメリットがある。

一般的なディスプレーのリフレッシュレートは60Hz。これがゲーミング液晶になると144Hzなど高い値に設定できるようになる

 これに対し、手順の(1)の部分にあたるグラフィック機能が表示する画面データを作る頻度は「フレームレート」という。単位は「fps」で表され、1秒間あたり何回画面データを更新できるか、というものだ。

 ゲーミングPCの評価で、「満足にプレーするなら60fps以上のフレームレートが欲しい」とよくいわれるが、これは一般的なディスプレーのリフレッシュレートが60Hzで、これ以上のフレームレートがあれば、表示のガタツキが目立たなくなるからという理由がある。

1秒間にどのくらい画面データを書き換えられるかというのがフレームレート。例えばFF14ベンチでは左下にグラフで表示され、シーンによって大きく変動しているのがわかる。ゲームでは表示の滑らかさに直結するため、とくに意識されることが多い

 ここまでの説明で気づいたかと思うが、ディスプレーの「リフレッシュレート」と、グラフィックの「フレームレート」は基本的に一致しない。通常、リフレッシュレートは固定だがフレームレートは可変で、シーンによって数十fpsから100fpsオーバーまで変化することも珍しくないほど激しく変動する。

 こういったリフレッシュレートとフレームレートの食い違いは、画面がズレて表示される「ティアリング」や、表示のガタツキとなる「スタッタリング」などとして悪影響が出やすくなる。

 ティアリングは、画面の上下がずれて表示されてしまうような症状のことで、描画サイクルと表示サイクルの食い違いによって起こってしまうものだ。これはフレームレートをリフレッシュレートと揃えてやる(垂直同期やV-SYNCといった設定をオンにする)ことで改善されるが、その場合、せっかく高性能なグラボを搭載しているのに60fpsに固定されてしまうという問題が起こる。

 なお、これはフレームレートがリフレッシュレートを上回っている場合の話。この逆に、フレームレートがリフレッシュレートよりも遅くなる場合は、遅れたぶん同じフレームが連続して表示されてしまうという「スタッタリング」が発生し、滑らかさのないガタガタした動きに見えてしまうのだ。

AMDのサイトにあるティアリングの例。ティアリングが起こると帯状に画面ズレが起きてしまい、上下で分割されたような表示になってしまう

 こうした問題を解決するため、フレームレートに合わせてリフレッシュレートの方を自動で調整しようというのが「FreeSync」だ。これにより、60fpsで頭打ちにされてしまうことなくティアリングがなくなり、また、表示遅延がなくなるためスタッタリングも抑えられるというメリットがある。ただし、PC側はもちろんディスプレー側の対応も必要となるため、どんな組み合わせでも使えるわけではない点には注意が必要だ。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ