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山谷剛史の「アジアIT小話」 第158回

中国のネット世界で不可欠な、点数化された個人信用情報

2018年09月26日 09時00分更新

文● 山谷剛史

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実際に信用スコアを利用して
ゲーム機やソフトをレンタルしてみた

 レンタルサービスは京東の小白信用だけではない。天猫(Tmall)やアリペイによるさまざまな商品のレンタルサービスもある。芝麻信用のスコア次第で商品レンタルのデポジットが不要になるものだ。筆者もそれを利用してみた。レンタルサービスのページへは、アリペイの芝麻信用のページを下にスクロールしていくと、レンタルが紹介がされているのでそれをタップしていけばいい。

 レンタルできる商品は豊富だ。前述のスマートフォンやベビー用品ほか、デスクトップ、ノート、Windows、Mac、問わず借りられるし、ドローンや翻訳機や各種デジカメやゲーム機が借りられる。女性向けのドレスもある。パーティーに出る女性には都合がよさそうだ。

信用スコアがしっかりしていれば、日本のケーカーのゲーム機も安くレンタルできる

 ただし、商品ページをよく見てみると、スマートフォンに関しては日本ではなかなかレビューされていない中国のスマートフォンがリストにあるものの、最新のスマートフォンに関しては1年以上のレンタル期間が必要である。数日触って返却できるのはiPhone 6の中古くらいしかない。これは迪信通でも同じで、店内のレンタルサービスのポスターには小さく「ただし1年以上のレンタルが必要」と書いてある。

 がっかりしてはいけない。それ以外のドローンやゲーム機などたいていのデジタル製品は数日のレンタルから可能となっている。ニンテンドーSwitchやPlayStation 4も本体が借りれるほか、各ゲームを1日2元(32円)から借りることができる。これは魅力的に聞こえる。そこで筆者は中国の動画サービス「愛奇芸」のVRヘッドセットと、Switchのソフト「Arms」をレンタルすることにした。1つを知り合いの中国人にお願いし借りてもらい、1つを外国人である筆者が借りることにした。

 芝麻信用によりデポジット不要で借りられるとワクワクして臨んだが、残念ながらSwitchのソフトを借りようとした筆者はデポジット無料にはならなかった。芝麻信用のスコアが一定以上あろうが、外国人はサービス対象外なのである。デポジットが必要ながらレンタル申請は完了できた。一方、知り合いの中国人は無事にデポジット不要でVRヘッドセットのレンタル申請が完了した。いずれも配送時間を考慮し、レンタル開始日を4日後にして、そこから6日間借りることにした。

 申し込みから2日、予定よりも早く深センの店舗から中国の内陸の筆者の場所まで商品が届く。新品ではなく使用感はあったが、当然いずれも問題なく利用できた。ちなみにSwitchのソフトは日本語パッケージだった。日本から輸入したようだ。返却は予定日までに発送すればよく、到着が予定日より遅れても構わないとのこと。自分で発送する手間はかかり、宅配便で発送するにもスマートフォンQRコードを読み取ってサイトから入力するので、微信(WeChat)など定番の中国のアプリが入ったスマートフォンは必須となろう。

宅配の申し込みもスマホの活用が不可欠だ。スマホ社会なのである

 レンタル価格は確かに安いのだが、送料が2点で往復で1000円程度かかった。中国のオンラインショッピングサイトは送料は意識しないほど安いか、総量込みの価格なので、送料と手間を考えると中国人にとっては安いと感じにくいかもしれない。レンタルサービスが普及するか否かは、認知度がカギとなるのはもちろんだが、送料負担をどうするかもカギになろう。

 数日後、レンタル料金だけ、筆者も中国人の知人もアリペイから引き落とされた。デポジットがあるといいながらも、筆者もデポジットは引き落とされなかった。返却しない場合はデポジット分が引き落とされるのだろう。個人的には、1万円以上する中国限定のさまざまなデジタル製品がレンタルで試せるのでまた使ってみたいところだ。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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