3年前に不可能だった小型化が、なぜ実現できたのか
W410の開発は、数年前からスタートしたという。小型化できた要因として、基本的にはパーツの配置など設計の工夫によるところが大きい。
例えば回路基板の厚さも40%程度まで薄くなり、さらに基板に装着(実装)するパーツや実装時の高さも抑えている。
これは「国内工場の製造技術が進化したおかげ」(廣田氏)とのこと。またソーラーセルもW770ではステンレス素材のものを採用していたが、W410ではフィルム素材に変更している。
薄型化に特に貢献しているのが、前述のバイブレーション機能をカットしたこと。バイブレーション用のモーターは、以前よりも小型化が進んでいるとはいえ、時計サイズで考えると大きなスペースを必要とする。そのスペースを廃して設計することで、スリムな設計が可能となったわけだ。
バイブレーション機能はなくなってはいるものの、時計の背面に「圧電振動板」を搭載している。これは本体背面の裏蓋に貼り付けた、「プレートの振動」によって音が響く仕組み。実際テストで使ってみたところ、聞き取りやすい音色のサウンドを発するだけでなく、PICマイコンによって周波数を変えることで、複数のさまざまな音色を作り出している。
ソーラーセルの下に配置したステンレス板を、Bluetoothアンテナとして使用。接続部品をムーブメント外周に配置して、スペースを有効活用している。圧電振動板との配線は、極小のバネ型接点を採用している。
毎日、身につけるからこそ薄型化がうれしい
キャリバー自体が「おおよそ面積では半分、容積では4分の1以下」(廣田氏)と小型&薄型化しているため、製品全体もスリムになっている。W770を採用したモデルを横からみると、背面の裏蓋部分が盛り上がっているデザインになっているが、W410では膨らみはない。ベルト装着部分のラグから、ほぼフラットなデザインとなっている。そのため装着時に腕のラインにフィット。軽量化も計られているので、長時間装着していてもストレスを感じないデザインだ。
さらにソーラーセルの発電効率が向上したことにより、文字盤の透過率が低くても実用に遜色はない量の発電が可能なため、文字盤のデザインにも自由度がアップした。金属に近い印象の文字盤といったデザインに表れている。