正しさに対する、2つの軸
双子の新機種では、このあたりに配慮したチューニングを施したそうだ。
日本語に訳すならFidelityは忠実さ、Fealtyは誠実さといったところ。どちらも“正しさ”に対する信念を感じさせるもので、真面目で正直なDITAらしいネーミングに思える。
この2モデルは基本設計が全く同じで、音の味付け(振動板のチューニング)だけを少し変えたものとなる。筐体の色も異なるが、ほかの仕様はまったく同じだ。つまり“双子の関係”。名前も“Twinsシリーズ”としてリリースされている。
直径10㎜のドライバーはDreamと同サイズだが、「デュアル・マテリアル・コンポジット・ドライバー」として新規開発した。大きな違いは振動板で、PET(ポリエチレンテレフタレート)とPEN(ポリエチレンナフタレート)の混合素材を使用している。Dreamの振動板は「マルチコートマイラー」と記載されているので、PET系の素材を用いていたと思われる。
FidelityとFealtyでは、さらにPETとPENの混合比率を変えており、異なる個性の音を出している。
Dreamとの比較では、ドライバー以外にも、筐体の素材と形状、ケーブルなど、異なる要素は意外に多い。ただし便利なAwesomeプラグや、切れがあって明瞭な低域の秘密であるベンチレーションなど従来機種で培ったノウハウはしっかりと継承している。
軽量で加工がしやすいアルミ合金を採用
より具体的に製品を見て行こう。
まずは外観から。筐体は航空機グレードのアルミ合金製だ。Fidelityはガンメタ調(Barium Grey)、Fealtyは明るいシルバー(Iridium Silver)に塗装されている。Dreamと比べると厚さが1~2mm増すなど、全体的に大型化しており、プレート面のサイズやケーブルの取り付け部分も大きい。一方で重量はアルミ製のため軽量化している。
筐体には、よく見ると小さな穴が開いている。ここがDITA製イヤホンの肝のひとつだ。ベンチレーションによって振動板を動きやすくし、低域の解像感などを高める効果がある。
Fidelity/Fealtyのケーブルは「The Fatケーブル2」というもので、Dreamが採用した「The Truthケーブル」とは異なる。The TruthケーブルはオランダのVan den Hulに製造を委託したケーブルで、銀コート銅線を使用していた。詳細は公表されていないが、Answerなどでも採用されていたThe Fatケーブルをベースにしつつ、2pin端子を使ったケーブル交換への対応やネジを緩めることで取り外せるAwesomeプラグの採用といったブラッシュアップを加えたケーブルではないかと想像する。
シースはシリコン系で弾力があり、柔らかい感触となっている。加えて線材の違いも関係しているのだろう。見た目ではThe Truthケーブルと比べて、若干チープな質感ではある。とはいえ、タッチノイズが少なく、取り回しがしやすいという点では有利かもしれない。個人的には柔らかいが携帯時にまとめにくく、The Truthよりも特別扱いやすいとは思えなかったが……。
なお、The Fatケーブル2では、イヤホン部とケーブル部をつなぐ2pin端子がSlot-Lockに変わっている。より安定した着脱が可能で、ピンが曲がったりする不安も少ない。パッケージにはAwseomeコネクタの機構に対応した3.5mmと2.5mmのプラグが付属しており、プレーヤーの端子に合わせて付け替えられる。
10万円を超すイヤホンと考えれば当然かもしれないが、梱包も豪華だ。倍近い価格のDreamよりは小さいものの、箔押しでDITAのロゴをあしらうなどコストをかけた印象だ。保管しやすさも利点だろう。付属品はミニマム。Dreamは高域の減衰を調整するためボア(軸)の口径が違う3種類のチップを同梱していたが、イヤーチップはファイナルのEタイプのみ(大きさは4種類)となる。ほかにシリアル番号を刻印したプレートが金属製ではなくプラスチック製にするなど、細かな点で差を付けている。ただしやたらと力の入った航空機用プラグや、小さくて質感もいい革製ケースが付属する点は同様だ。
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