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「HAMR」や「MACH.2」などの新技術を実用化、ハードディスクの物理的限界を突破し続ける

1台100TB超の未来も! データセンターHDD「Exos」でシーゲイトが考えていること

2018年08月03日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: 日本シーゲイト

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大容量HDDに高速性能をもたらす「MACH.2 マルチアクチュエータ」もまもなく登場

 HDD 1台あたりの大容量化が進む一方でパフォーマンス、つまりデータを読み書きする速度が従来のまま変わらなければ、ストレージとしては非常にバランスの悪いものになってしまうだろう。前述したとおり、未来のデータセンターストレージには、大容量データを「リアルタイムに」扱える能力が求められるからだ。

 大容量HDDのパフォーマンスを向上させるひとつの方法として、シーゲイトでは「MACH.2 マルチアクチュエータ」技術を開発しており、すでに製品化の一歩手前まで来ているという。これは1台のHDDに2つのアクチュエータとヘッドを搭載し、並行動作させるというものだ。




 HDDの内部では、アクチュエータがアームを制御して目的のトラック(場所)までヘッドを動かしている。あるデータを読み書きした後、別のデータを読み書きするには物理的にヘッドを移動させる必要があるため、その移動にかかる時間がレイテンシとなってしまう。

 MACH.2は、1つのアクチュエータ/ヘッドが読み書き処理を行っている間にもう1つのアクチュエータがヘッドを移動させることで、そのレイテンシを削減する技術だ。シーゲイトによると、この技術によってすでに最大480MB/秒のスループットを実証できているという。これはシングルアクチュエータの2倍のスループットであり、1万5000rpmのHDD比でも60%高速な数字だという。将来的には、MACH.2もExos Xシリーズに搭載され、現在のシングルアクチュエータモデルと並んで“パフォーマンス重視型”のマルチアクチュエータモデルが展開される計画だ。

* * *

 冒頭で取り上げたDATA AGE 2025レポートには、エンタープライズ市場におけるSSDとHDDの出荷比率(容量ベース)の予測も掲載されている。それによると、SSDの比率は徐々に高まっていくものの、2025年時点においてもまだHDDが80%を超える比率を占めるという。

エンタープライズ市場における2025年までのSSDとHDDのストレージ出荷比率予測(容量ベース、IDCによる)

 本稿で紹介できた技術は、HDDのさらなる進化に向けてシーゲイトが取り組みを進めているもののほんの一端にすぎない。容量やパフォーマンスのほかにも、信頼性、コスト性、セキュリティ性といった要件を満たすための技術も常に研究開発が続けられている。フラッシュという強力なライバルが登場したことによって、HDDの技術革新を先頭で担うシーゲイトの役割はますます重要なものになったのではないだろうか。

(提供:日本シーゲイト)

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