金融庁研究会で欠けている論点:
「仮想通貨ダメ、ブロックチェーンOK」でいいのか
2018年07月17日 09時00分更新
■仮想通貨はブロックチェーンと不可分か
ブロックチェーンは、自律的にネットワークが管理され、広がっていく特徴がある。そして、ネットワークの自律性を確保するおもな仕組みが、マイニングだ。
仮想通貨の取引を確定する計算作業にマシンパワーを提供すると報酬が支払われる。この報酬を受け取るため、世界中の企業や個人がマイニングに参加している。さまざまな方式があるが、ブロックチェーンは、不特定多数の人々の金銭欲に支えられて成り立っている面がある。
ブロックチェーンの自律性に着目したプロジェクトも、世界のあちこちで立ち上がっている。ブロックチェーンを使って、世界中からコンピュータのマシンパワーの一部を提供してもらい、容量の大きな高画質の動画を配信するサービスや、パソコンの余ったストレージを共有するクラウドストレージのようなサービスの開発も進んでいる。
こうしたサービスが、中央に管理者を置かず自律的に動くためには、貢献した人に支払われる仮想通貨の存在が必須だ。この場合ブロックチェーンと仮想通貨は、金融庁の問いかけでも触れられていたように「密接不可分」な関係となる。
一方、中島氏が指摘するように、さまざまな形でブロックチェーン2.0や3.0にあたるプロジェクトが進んでいる。仮想通貨を抜きにして、国際送金や、物流にブロックチェーンを応用する仕組みを考えると、どうしても中央に管理者が必要だ。報酬が支払われなければ、ネットワークは自律的には動かないからだ。
実際、ブロックチェーンを使った国際送金は、自律的というよりも、複数の銀行が管理し、物流については商社や海運会社などがコンソーシアムをつくって管理する仕組みも検討されている。
さまざまな分野で検討されているブロックチェーンの活用法を並べてみると、中央に管理者が必要な分野もあれば、いないほうがうまくいく分野もあるようだ。
一方、5月中旬、1本のブログが国内外のブロックチェーン関係者の間で話題になった。
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