グラフをくわえるわんちゃんのロゴでおなじみDatadogが日本法人を設立した。クラウドの運用監視というイメージが強いが、最近はAPM(Application Performance Monitoring)やログ分析まで包括的に手がけるほか、マルチクラウド・ハイブリッドクラウドの運用監視にも効力を発揮する。日本法人カントリーマネージャーの中川 誠一氏に話を聞いた。
クラウドの台頭とともにユーザー層を拡大
Datadogは、2010年に2人のフランス人によってニューヨークで創業され、クラウド型の運用監視ツールを手がけている。インフラ監視からスタートしたDatadogはまずAirBNBやNetflixなどのスタートアップが使い始め、今ではエンタープライズにまでユーザー層が拡大している。「データセンターからクラウドに移行するタイミングで、運用を変えたいということで導入されるケースも多い」(中川氏)とのことで、まさにパブリッククラウドの台頭と歩調を合わせて成長してきたと言える。
基本となるインフラ監視に関しては、エージェント経由でデータを取得し、見やすくビジュアライズする。IT管理者やエンジニアを前提としている他のツールに対して、Datadogでは経営者や現場ユーザーなどでも見やすい可視化を目指している。最近ではアノマリ検知や機械学習の技術を用いて、故障や障害の予兆を事前検知する機能も提供。特にクラウドサービスの運用を手がけるMSP事業者に好評を得ているという。
Datadogというとインフラ監視のイメージが強いが、最近は分散アプリケーションのAPMやログ分析まで幅を拡げている。「今年の3月には収集したログに自動的に付与する機能を用意しており、インフラ監視、APM、ログという3つの柱をカバーするようになっています。ホストやコンテナにエージェントを1つ入れていただければ、これらのデータがすべてとれます」とのことで、運用監視に必要なサービスを統合している点が競合との差別化ポイントとなる。
マルチクラウドに最適だが、オンプレミスユーザーもいる
パブリッククラウドベンダー自体も運用監視のサービスをどんどん拡充しているが、基本は競合より共存だという。「たとえば、AWSのマネージドサービスの場合、CloudWatchのAPIでデータを収集していたり、ログを収集しています」という意味ではまさに共存している。一方、今までAPMやログ分析は別の製品を組み合わせていたが、今後はDatadogのみで包括的な運用監視を実現していけるようになる。
Datadogは「インテグレーション」と呼ばれるコネクタも250種類以上用意されており、GUI環境から簡単にサービスと接続できる。「インテグレーションは自社開発しているし、もちろん最新のサービスにもいち早く追従しています。Datadogを中心に据えて、さまざまなサービスをつなげ、アラートはSlackやPagerDutyなどで通知できます」と中川氏はアピール。Datadog自体がマルチクラウド上で構築されていることもあり、複数のクラウドの運用監視にも向いている。
また、オンプレミスとクラウドというハイブリッドクラウド環境での利用も可能。クラウドのイメージの強いDatadogだが、「オンプレミスのみで運用しているお客様もいます」(中川氏)とのこと。既存の資産も、新しいシステムも、包括的に運用監視できるのがDatadogの大きな売りと言えるだろう。
APACよりも先に立てられた日本法人はパートナーの開拓と日本語での情報提供をメインに進める。「北米で多いDevOpsで自ら開発し、運用したいエンドユーザー様だけでなく、日本では運用監視を手がけるMSP事業者様にもきちんと向き合っていきたいと思います」と中川氏は語る。