パーツの知識がないと高くつくことも……
ショップブランドPCを販売すべく、まずはパーツショップ店員が客に「ゲーミングPCか? ちょっと使うくらいでいいのか?」などといった、ざっくりとしたニーズを聞きつつ、手元の空白のPCスペック表が印刷された用紙に「CPUはこれ、メモリーはこれな。ビデオカードもつけておくな」などと書いていく。
書き終わったら電卓を叩き、全部でいくらと計算し、メモしていく。中国でPCパーツ屋とは、単品で買うための店というよりは、パーツを買って組んでもらう店である。
困ったことに、日本のように各PCパーツそれぞれに値段が書いてあるわけではないので、それなりにパーツの知識がないとだまされる恐れが高い。
「Core i3を超える」という中科曙光製の中華x86 CPUへの換装を意識して、「Ryzen 3」ベースのシステムを組むことにする。
まずCPUは「Ryzen 3 1200」、マザーボードはGIGABYTEのSocket AM4の「A320-S2H」とした。
七彩虹など中国メーカーのマザーボードのほうが理想だったのだが、店員が「GIGABYTEはいいぞ! 世界で売れている!」と推してきて、筆者の中国メーカープッシュのパワーが足りず、結果GIGABYTEのマザーに決定。
ストレージはKingstonの120GB SSDとした。これはそもそも中国のSSDがマイナーで電脳街であまり売られていない上に、筆者の経験として中国のマイナーメーカーのSSDをいくつか導入しては、いずれも突然うんともすんとも言わなくなったことがあり、作業PCのメインストレージとしては不安で導入できない、という理由もある。
メモリーはKingTiger Tecnology製のDDR4 8GBだ。ビデオカードには激安Windowsタブレットでも知られる「昴達」(ONDA)製のNVIDIA「GeForce GT 710」搭載カードでかろうじて中国メーカー製をキープ。
パーツが決まったら、手際よく組み立ててくれる
パーツは決まった。商談が終わるとスタッフが箱から次から次へとパーツを取り出し、箱を投げ捨てては迅速にPCを組み立てはじめ、1時間もせず完成となった。
その後、動作確認をして、デバイスマネージャーを見て異なるパーツがつけられていないことを確認後、製品代を払い、持ち帰りとなる。値段は料金3600元(約6万2000円)と安くはない。
例によって、値段の中にOS(Windows 10)代は含まれてもいないどころか、パーツショップに用意された「PCスペック表書き込み用紙」にOSの項目がない。
それにも関わらず、謎の中華ソフトが多数入った余計なWindows 10がインストールされていたので、まっさらにした上で新たに筆者の所有する日本語Windows 10をクリーンインストールした。
2万2000円でノートPCが買える時代
自作PCの購入はおすすめしないが……
中国ですら情報端末の主役はPCからスマートフォンに移ってしまった。電脳街のPC売り場でもおもに売られるのはノートPCであり、さらに淘宝網(タオバオ)では1300元(約2万2000円)程度からノートPCが買える。
なお、1300元ノートはいくつか売り出されている。11.6インチないしは13.3インチモニターでCeleron N3450搭載、64GB eMMC、メモリーは4GBないしは6GB搭載の薄型ノートだ。
中国のPCパーツショップで自作PCを組むなんて行為は、もはやリスキーでしかなく、オススメはできない。
それでもあえて中国で自作PCを買う奮闘記を読んでくれて(あまつさえ中国で自作PCを組んでみたくなった)読者は、昔ながらのうさんくさいB級中国が好きだからだろうか。最後まで読んでくれた読者同志に感謝したい。

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