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エデュケーション@プログラミング+ 第13回

プログラミングを始めたい人、必読!

Python入門書22冊を読み比べてみた

2018年06月14日 09時00分更新

文● 坂川慎二/ASCII

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もっとも人気のあるプログラミング言語Python

 「政府がIoT(モノのインターネット)を推進」「小学校でのプログラミング教育が必修化」などのニュースを耳にするたび、プログラミングに関心を持ったり、始めたいと思ったりしている人も多いはず。

 Pythonは今、もっとも人気のあるプログラミング言語(Googleでプログラミング言語のチュートリアルが検索された回数を分析しているサイト、「PYPL PopularitY of Programming Language」などより)です。人工知能やデータサイエンスの分野で使われながらも、シンプルでわかりやすく、これからプログラミングを始めたい人に最適と言われています。数年前まではPythonに関する書籍はそれほど多くありませんでした。しかし、現在では特にディープラーニングや機械学習など人工知能に焦点を当てたものまでを含めて、Python関連書籍は増え続けています。

 以前、「プログラミング+」では、『最強のJava入門書はどれか?(2016年秋)』 というタイトルで座談会を行いました。その際、プログラミングを学ぶにあたって、そもそも「本で入門するのがよいのか?」という疑問が呈されていましたが、入門書が求められていることは刊行点数の多さが示しています。そこで今回はPython入門書を各出版社に提供いただき、内容を比較してみました。

Python入門書は2017年から急増

 今回、紹介するPython入門書は22冊です。前述の通り、人工知能関連まで含めると、Python絡みの本はもっとあります。しかし、今回はそれらの書籍や中級者以上を対象にしていると思われる書籍は取り上げていません。電子書籍も外しました。また、古い書籍やPython3に対応していないものも比較検討外としました。Pythonにはバージョンがあって、Python2の最後のバージョンは2.7です。それ以降はPython3です。これから勉強する人は自ずとPython3を使う場合が多いと考えられますので、今回はPython3に対応している書籍を対象としています。そういった観点で、Python入門書と思われる書籍をリストにすると、下記の通りです。発行点数が2017年から飛躍的に増えていることがわかります。

書名著者・監訳者発行元/発売元発行年月ページ数定価
3ステップでしっかり学ぶ Python入門山田祥寛、山田奈美著技術評論社2018年6月304頁2,480円+税
わかるPython [決定版]松浦健一郎、司ゆき著SBクリエイティブ2018年5月384頁2,380円+税
やさしいPython高橋麻奈著SBクリエイティブ2018年5月448頁2,580円+税
Pythonスタートブック [増補改訂版]辻真吾著技術評論社2018年4月352頁2,500円+税
動かしながらさくっと身につく 今こそホンキで覚えるPython大津真著ソシム2018年3月256頁2,200円+税
かんたんPython掌田津耶乃著技術評論社2018年3月608頁2,780円+税
Pythonの絵本 Pythonを楽しく学ぶ9つの扉株式会社アンク著翔泳社2018年2月216頁1,780円+税
ゼロからやさしくはじめるPython入門クジラ飛行机著マイナビ出版2018年1月288頁2,310円+税
Python1年生 体験してわかる!会話でまなべる!プログラミングのしくみ森巧尚著翔泳社2017年12月192頁1,980円+税
土日でわかるPythonプログラミング教室 環境づくりからWebアプリが動くまでの2日間コース吉谷愛著SBクリエイティブ2017年9月240頁2,380円+税
たった1日で基本が身に付く!  Python超入門伊藤裕一著技術評論社2017年8月192頁2,060円+税
いちばんやさしいPythonの教本 人気講師が教える基礎からサーバサイド開発まで鈴木たかのり、杉谷弥月、株式会社ビープラウド著インプレス2017年8月272頁2,200円+税
スラスラわかるPython岩崎圭、北川 慎治著、寺田学監修翔泳社2017年8月296頁2,300円+税
退屈なことはPythonにやらせようAl Sweigart著、相川愛三訳オライリー・ジャパン/オーム社2017年6月616頁3,700円+税
Minecraftで楽しく学べる Pythonプログラミング齋藤大輔著ソーテック社2017年6月240頁2,480円+税
詳細! Python3入門ノート大重美幸著ソーテック社2017年5月416頁2,680円+税
12歳から始めるゼロからのPython ゲームプログラミング教室大槻有一郎、リブロワークスPython部著ラトルズ2017年5月288頁2,200円+税
いちばんやさしいPython入門教室大澤文孝著ソーテック社2017年4月256頁2,280円+税
みんなのPython 第4版柴田淳著SBクリエイティブ2017年1月500頁2,700円+税
実践力を身につける Pythonの教科書クジラ飛行机著マイナビ出版2016年10月320頁2,580円+税
独習Python入門 1日でプログラミングに強くなる湯本堅隆著技術評論社2016年9月288頁2,580円+税
確かな力が身につくPython「超」入門鎌田正浩著SBクリエイティブ2016年3月304頁2,480円+税
基礎Python 入門から実践へステップアップ大津真著インプレス2016年3月312頁2,680円+税
Pythonチュートリアル 第3版Guido van Rossum著、鴨澤眞夫訳オライリー・ジャパン/オーム社2016年3月260頁1,800円+税
入門Python3Bill Lubanovic著、斎藤康毅監訳、長尾高弘訳オライリー・ジャパン/オーム社2015年12月600頁3,700円+税
たのしいプログラミング PYTHONではじめよう!Jason R.Briggs著、磯蘭水、藤永奈保子、鈴木悠訳オーム社2014年2月280頁2,800円+税

知らないことだらけ・・・初学者ならではの戸惑い

 Pythonに限らず、プログラミングの入門書を手にする人はそもそもプログラミングとは?というところからわからないことが多いと思います。本当の初学者は、Pythonというソフトウェアをインストールしないと使えないことすら知りません。「変数」などの専門用語が出てきても、チンプンカンプンな人が多いはず。なにより筆者がそうでした。

 また、Pythonを動かすには、主に下記のような方法があり、初学者はこれにも戸惑いを覚えます。

・テキストエディターでプログラムを書き、保存したファイルを読み込ませて実行すること(コマンドラインに結果が表示)。
・コマンドライン(Windowsならコマンドプロンプト、PowerShell など。Macならターミナル)に直接プログラムを書く対話形式(「インタラクティブモード」「インタラクティブシェル」など書籍によって呼び方が異なるので注意)があること。
・Pythonの統合開発環境(IDLE)を用いること。
・Anacondaに内蔵されているJupyter Notebookに直接、プログラムを書くこと。

 筆者は、コマンドラインの画面も、Pythonを学ぶ過程で初めて見ました。コマンドラインなどの解説が不十分な書籍は、挫折につながりかねません。個人的には、Pythonのディストリビューション(外部ライブラリーを組み込んだ特別版みたいなもの)であるAnacondaをインストールして、そこに内蔵されているJupyter Notebookという、ウェブブラウザー上で動作する対話型開発環境を使って学んだほうがとっつきやすいと思います。というのも、Pythonは便利なライブラリーが特に充実しており、それが特徴にもなっています。ライブラリーを使えば、複雑なプログラムを書かずに、グラフを表示するなど便利なことが行えます。最初にAnacondaさえインストールすれば、Jupyter Notebookだけでなくそうしたライブラリーも使えるようになるので、あとは学びやすいという印象ですが、そのあたりは学ぶ目的によっても異なるので、一概には言えません。

 そういった点を踏まえ、どれだけ初学者向けかという視点で、書籍を1冊1冊見ていきたいと思います。なお、今回紹介している書籍はすべて初学者向けで、図がたくさん記載されていますが、その中でもパソコン初学者寄りの本を「超初学者向け」、写真やイラストが多い本を「ビジュアル重視」、ゲームなどの例題を通して学んでいくスタイルの本を「体験系」、初学者向けながらも応用までの幅広い内容を含めたり、辞書的な本を「リファレンス系」と便宜的かつ主観的に呼ぶことにしました。

『3ステップでしっかり学ぶ Python入門』
著:山田祥寛、山田奈美 発行:技術評論社 2,480円+税

2018年6月初版発行。Python、テキストエディター(Visual Studio Code)のインストールまで詳細に記載。なぜテキストエディターを使うのか、理由が書かれていないなと思っていると、第3章でイラストを交え、インタラクティブシェルとテキストエディターに書き込む形式の両方を詳しく解説している。プログラミングの基本を細かく分けて解説しているが、「input関数」「リスト型」というタイトルではなく、「ユーザーからの入力を受け取る」「複数の値をまとめて管理する」といった表現をしているところが初学者には親切。オールカラー。ビジュアル重視、超初学者向け書籍。

『わかるPython [決定版]』
著:松浦健一郎、司ゆき 発行:SBクリエイティブ 2,380円+税

2018年5月初版発行。Pythonのインストール方法を紹介した後、すぐにprint関数、文字を表示させるためのクォーテーションの使い方などの基本文法の解説が始まる。プログラミング初学者およびパソコン初学者には難易度高めである。その分、文字列のスライスなど、他の入門書があまり触れていない内容についての記載もある。後半の「実践編」では、機械学習、ニューラルネットワークなどの仕組みについて図で紹介しており、幅広い内容をカバーしているのが特徴と言える。文法を1つずつ解説していくチュートリアル要素とリファレンス要素が8:2のような印象。

『やさしいPython』
著:高橋麻奈 発行:SBクリエイティブ 2,580円+税

2018年5月初版発行。テクニカルライターの高橋麻奈氏が執筆した「やさしい」シリーズのPython本。Pythonではなく、Anacondaのインストールから解説が始まる珍しいパターン。パソコン初学者にとっては戸惑うことがあるかもしれない。何のために行っている作業かについての説明が少ない印象だが、Pythonの動かし方については解説が細かく、本の通りに学習を進めていけば、あとから理解がついてくると思われる。チュートリアル系の本でありながら、リファレンス的な要素もある。

『Pythonスタートブック [増補改訂版]』
著:辻真吾 発行:技術評論社 2,500円+税

2010年5月の初版発行後、増刷を重ね、2018年4月に[増補改訂版]が発行となった。増補改訂版であるためか、Python、Anaconda、テキストエディター(Visual Studio Code)のインストールは巻末にまとめて付録として掲載。インタラクティブシェルとテキストエディターの説明は明快で、わかりやすい。早い段階でrandomモジュールを使用したり、プログラミングの解説を日曜大工や料理に置き換えて説明したり、ほかとは違うユニークさがある。これをわかりやすいと思うかは、読む人次第。ウェブの仕組みやデータベースへの言及があり、Pythonを仕事に使う人にはヒントになると思われる。チュートリアル系の書籍だが、ところどころ体験系の要素もある。

『かんたんPython』
著:掌田津耶乃 発行:技術評論社 2,780円+税

2018年3月初版発行。「かんたん」シリーズのPython版。IDLEを使用。2色でシンプルな誌面。かつ600ページもあるため、初学者にはとっつきにくいかもしれないが、Pythonのインストールなど、学び始める環境を整えるまでの解説は詳しい。また、学ぶべき内容が網羅的に書かれている。「エラーと例外処理」の章など参考になる内容も多いので、最初から学び進めるだけでなく、辞書としても使うことができる。チュートリアルとリファレンスが7:3くらいの印象。

例外処理なども図を使ってわかりやすく解説。

『Pythonの絵本 Pythonを楽しく学ぶ9つの扉』
著:株式会社アンク 発行:翔泳社 1,780円+税

2018年2月初版発行。他の本で詳しく解説されている、Pythonのインストールやコマンドラインの説明が必要最小限に抑えられている。パソコン操作に慣れている人は読み進めやすいだろう。「ファイルオブジェクト」「ファイルの読み込み」「ファイルへの書き出し」というように順を追って、見開きで説明が完結するように工夫されているのが特徴。税込で2,000円以下という価格も魅力。ビジュアル重視の書籍。

『Python1年生 体験してわかる!会話でまなべる!プログラミングのしくみ』
著:森巧尚 発行:翔泳社 1,980円+税

2017年12月初版発行。Python本では珍しい、キャラクターが対話形式でPythonを解説していくスタイル。パソコン初学者にとって聞き慣れない用語の解説やエラーについての言及もある。インデントの重要性などもわかりやすく紹介している。主に用いるのはIDLEだからか、一般的なテキストエディターの紹介などはなく、ほかの本とは異なった構成。基本文法を簡潔にまとめながら、ちょっとした人工知能の開発体験までも含めている。オールカラー、ビジュアル重視、超初心者向けの体験系書籍である。

キャラクターの対話形式が特徴の『Python1年生』

『たった1日で基本が身に付く!  Python超入門』
著:伊藤裕一 発行:技術評論社 2,060円+税

2017年8月初版発行。オールカラー。「たった1日で基本が身に付く!」シリーズのPython版。「Pythonは単純なバッチ処理(スクリプト)を簡単に書くこともでき、なおかつ関数型の強みを簡単に使うことができます」など、全体的に表現が難しいが、関数の役割を3つの視点から解説したり、「なるほど」と思う話も多い。絵を動かすというような具体例をこなしながら、プログラムを学んでいくという体験系の書籍ではなく、必要不可欠な理屈と方法を順番に解説している。

『いちばんやさしいPythonの教本 人気講師が教える基礎からサーバサイド開発まで』
著:鈴木たかのり、杉谷弥月、株式会社ビープラウド 発行:インプレス 2,200円+税

2017年8月初版発行。「いちばんやさしい教本」シリーズ。オールカラーで、著者のイラスト入りコメントがあり、とっつきやすい印象。特にコマンドラインの使い方が詳しい。Pythonに限った話ではないが、ディレクトリーやファイルの置く場所の解説は、初学者にはありがたい。具体例を実行しながら学んでいく体験系のビジュアル重視書籍で、「干支の順番を計算する」「生徒の評価を表示するプログラム」など例が独特。後半はWEBアプリケーションについても触れられている。ライブラリーにも触れられているが、解説は多くはない。超初心者向け。

見開き完結で事例を通じてPythonを学ぶことができる。

『スラスラわかるPython』
著:岩崎圭、北川 慎治 監修:寺田学 発行:翔泳社 2,300円+税

2017年8月初版発行。Python、テキストエディター(Visual Studio Code)のインストールを含め、環境を整えるまでの説明が親切。各章の冒頭に登場する四コマ漫画が特徴。「エラーと例外」にも1章を割いて説明されている。モジュールやパッケージ、Webスクレイピングについても解説されていて、リファレンス要素もあり、簡潔ながらも幅広い内容を学ぶことができる。超初心者向け。

『退屈なことはPythonにやらせよう』
著:Al Sweigart 翻訳:相川愛三 発行:オライリー・ジャパン 3,700円+税

2017年6月初版発行のリファレンス系書籍。ほかの入門書がPythonの特徴やインストールにある程度のページ数を割いているのに対して、本書はPythonとAnacondaのインストール、IDLEの使い方、フロー制御、関数、リストなどプログラミングの基礎については簡潔に記載。図はあまり出てこない。その代わり、たとえばエクセルの特定のデータを1つ1つ抜き出すといったような単純作業を効率化するプログラムなどを紹介。価格は高いが、Pythonをビジネスに応用したい人は1冊持っておきたい。

写真は12章「Excelシート」より。章末には演習問題もついている。

『Minecraftで楽しく学べる Pythonプログラミング』
著:齋藤大輔 発行:ソーテック社 2,480円+税

2017年6月初版発行。カラーで写真を多用しており、タイトル通り、「楽しく」学べる。マインクラフトの購入手順やインストールが参考になるが、環境変数など様々な設定が必要で、Pythonの解説が始まるチャプターまで50ページ以上読み進めなければならない。そのあたりが気にならなければ、Pythonの説明はシンプルでわかりやすい。マインクラフトと並行して説明が展開される、ビジュアル重視の完全な体験系書籍で、マインクラフトを学びたい方におすすめ。

より大きなピラミッドを作成していく過程で、繰り返し文を学ぶ。

『詳細! Python3入門ノート』
著:大重美幸 発行:ソーテック社 2,680円+税

2017年5月初版発行。PythonとともにAnacondaのインストールを推奨。プログラミング用語の説明が少ないなど、パソコン初学者には理解が難しい面がある。一方で、文字列の数字の説明など、わかりやすい図も多い。特に「書式」という名前で、文法の意味と書き方をまとめた要点解説は、それだけ切り抜いて覚えたいくらいだ。Numpyの配列、機械学習についても書かれている。ライブラリー、モジュールについては章を立てて紹介する本が多いが、この本はその都度活用している。基本はチュートリアル系書籍だが、リファレンス的な要素も強い。

『12歳から始めるゼロからのPython ゲームプログラミング教室』
著:大槻有一郎、リブロワークスPython部 発行:ラトルズ 2,200円+税

2017年5月初版発行。Pythonをインストールした後、主にテキストエディター(Visual Studio Code)を使用していく。ほとんどの書籍がMacとWindowsの両方に言及しているが、この本はWindowsに限定して書かれている。printを「カッコの中に入れた値を表示する」などと、かみ砕いた解説が多い。#によるコメントの書き方(コメントアウト)、改行方法、文字と数字の組み合わせた表記の例文(データ型の説明)など、Pythonとプログラミング、その両方の説明が初学者にはわかりやすい。例題がすべてゲームを扱っている体験系書籍であるため、その点は買う前に確認しておきたい。ビジュアル重視の書籍である。

キャラによるまとめが意外と頭に残る。

『いちばんやさしいPython入門教室』
著:大澤文孝 発行:ソーテック社 2,280円+税

2017年4月初版発行。IDLEを用いて説明。エラー表示、空白や改行についての説明、初学者が犯しやすい間違い、#によるコメントの書き方など、初学者を想定した解説がありがたい。途中から数当てゲームなどを題材に、解説が進んでいく。ライブラリーについてはまとめて説明するのではなく、適宜言及・使用されている。オールカラー。前半はチュートリアル的で、後半は体験色が強くなっていく。超初心者向け。

『みんなのPython 第4版』
著:柴田淳 発行:SBクリエイティブ 2,700円+税

2017年1月初版(第4版)発行。版を重ねるPythonのベストセラー書籍。Pythonだけではなく、AnacondaとJupyter Notebookについての解説も詳しい。また、方法だけでなく、なぜそのようにするかが明快にわかる。初学者は最初、変数名と予約語の区別もつかないレベルなので、個人的には変数名のつけ方など各種のコラムが参考になった。チュートリアル要素とリファレンス要素のハイブリッドで、理解が進んでいる人にとっても辞書的に使用できる1冊。

通称「みんPy」こと『みんなのPython』。コラムも参考になる。

『独習Python入門 1日でプログラミングに強くなる』
著:湯本堅隆 発行:技術評論社 2,580円+税

2016年9月初版発行。Pythonとテキストエディター(Atom)のインストールから用語の解説までいたって親切。たとえば変数の名前の付け方(ルール)として、キャメルケース(JinguStadiumのように単語の境目を大文字で示す)とスネークケース(jingu_stadiumのように単語の境目を下線で示す)を紹介したり、ディレクトリの解説にページ数を割くなど、プログラミング初学者には理解しやすい内容となっている。最後はWebプログラミングやスクレイピングについて掲載しているが、コンパクトな内容だけに、この本だけでそれらを自由自在に使いこなすのは難しい。条件分岐や関数の説明もわかりやすいので、索引をつけて、もっと見やすい誌面でのアップデートを個人的には希望。超初心者向け。

『確かな力が身につくPython「超」入門』
著:鎌田正浩 発行:SBクリエイティブ 2,480円+税

2016年3月初版発行。オールカラー。今回取り寄せた書籍の中では、Python2とPython3の違いが最も詳しく書かれている。プログラムの基本を詳しく解説しているだけにとどまらず、外部ライブラリーの活用や画像処理、トラブルシューティングまで記載されている。幅広い内容が特徴の超初心者向けの1冊。

『基礎Python 入門から実践へステップアップ』
著:大津真 発行:インプレス 2,680円+税

2016年3月初版発行。珍しく1色の本であるが、余白が多く、読み進めやすい。Pythonで何かをつくるというような例題を進めるスタイルではなく、文法を1つ1つ解説するチュートリアル系の書籍である。ライブラリーなどについては言及していないが、使っている言葉がやさしく、コラムが充実している。

『Pythonチュートリアル 第3版』
著:Guido van Rossum 翻訳:鴨澤眞夫 発行:オライリー・ジャパン 1,800円+税

2016年3月初版発行。Pythonの作者Guido van Rossum氏自身の著書で、リファレンス系書籍。後述の『入門Python3』もそうだが、プログラミング初学者には理解が難しい面が多々ある(なにより表現が難しい)。その分、他の言語の経験者には、Pythonを学ぶ際のポイントが押さえられていると言えるのかもしれない。巻末に用語集があり、初学者はわからないことがあったときに辞書的に使うと良いだろう。価格もお手頃だ。

『入門Python3』
著:Bill Lubanovic  監訳:斎藤康毅 翻訳:長尾高弘 発行:オライリー・ジャパン 3,700円+税

2015年12月初版発行。冒頭、「Pythonと多言語の比較」「Pythonを避けるべきとき」などについて書かれ、様々なPythonの使い方が記載されている。ページも550ページを超えている。プログラミング入門者はたぶん読めない。書名に「入門」と書かれているが、データを自在に操るためのテクニックや並行処理など他の言語を学んだことのある人や、本格的にPythonを活用していく人向けの格好のマニュアル兼リファレンス的な書籍と言える。

『たのしいプログラミング PYTHONではじめよう!』
著:Jason R.Briggs 翻訳:磯蘭水、藤永奈保子、鈴木悠 発行:オーム社 2,800円+税

2014年2月初版発行。解説が詳細過ぎて、パソコンやプログラミング初学者には、逆に難しく感じるところがある。その分実用的と言えるのかもしれない。いろいろな関数やモジュールの活用事例が書かれている。主に絵の描き方・動かし方を学びながら(この点は好き嫌いが分かれるかもしれない)、Pythonの説明が進んでいく、体験系要素を含んだ書籍である。

2冊買いがおすすめ

 以上、便宜的にビジュアル重視、体験系、リファレンス系といった説明を加えながらPython入門書を紹介してきましたが、独習するにあたってどの本もよく考えられた構成になっています。文法については、基本はすべての本で解説されています。どの本でもPythonを学び始めることができますが、筆者の出した結論は2冊買いです。図が多い書籍+ページ数の多い書籍、超初心者向け書籍+リファレンス系書籍、体験系書籍+チュートリアル系書籍、出版社Aの本+出版社Bの本など、どんな組み合わせでも良いので、とりあえず2冊買ってみるのです。

 筆者は海外の動画からPythonを学び始めました。しかし、わからないことがあると、結局、本を見ています。『入門Python3』で、プログラミングについて次のような文章を見つけました。

 「数学の能力はそれほど重要ではない。もっとも重要なのは論理的な思考能力で、言語的な面で才能があれば役に立つ」

 実際、プログラミングは語学学習に似ているように思います。語学のプロフェッショナルになるためだけに、語学を勉強する必要はありません。理解できたり、聞いたり、喋りたいというような目的で語学学習をスタートする人も多いはずです。プログラミングもそれぐらいの気持ちで良いと思います。

 ですので、まずは学びやすいところから始めてみましょう。語学学習に書籍が不可欠なように、プログラミングでも書籍は欠かせないものだと思います。あとは身近で詳しい人に聞いてみるのも良いでしょう。また、プログラミングやパソコン初学者はセミナーを受講するのもおすすめです。Pythonのインストールや基本文法は、セミナーを受講してサポートを受けるのが手っ取り早いです。とにかく始めることが大事です。プログラミングに投資した分がいつか人生で役立つことを信じて、頑張っていきましょう。

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