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アスキー・ジャンク部リターンズ 第209回

おいしさのツボはどこなのか?:

ペプシ日本限定「Jコーラ」に疑問がある

2018年04月30日 17時00分更新

文● モーダル小嶋/ASCII

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後味が違うけれど、大きく変わらない

ペプシJ コーラ。パッケージはともかく、液体の外見と香りで当てられる人は相当なペプシ好きだろう

 まず、レギュラーおよびゼロからいこう。日本独自のスパイスとシトラスフレーバーの配合バランスで中味を設計し、一口目から感じられるしっかりとした飲みごたえと、キレのよいさっぱりとした後味を両立させたとしている。

 変わったところはやはり後味だろう。「スパイスとシトラスフレーバー」をうたうだけあり、通常のコーラとの違いはたしかに感じられる。その分、甘味が強くなったようにも思える。

 香料のせいだろうか、ペプシコーラそのものよりも、かつての「ペプシゴールド」のような、変わり種フレーバーを思い出したりした。とはいえ、いつものペプシコーラと大きく異なる、というわけではない。あくまで、「ちょっと雰囲気が違うな」という程度。

「ゼロコーラ」は色を黒にするというのは、どうもコーラ界の定番らしい。ちなみに特定保健用食品(トクホ)は白が多い。そういうイメージなのだろうか

 ただ、甘味料を使ったゼロになると、甘味料特有の舌に残る後味のせいで、たとえば「ペプシストロング ゼロ」あたりとの比較はかなり困難になる。あくまでも筆者の感想だが、飲み比べるか、相当にペプシシリーズを飲みなれている人でないと、違いはわからないかもしれない。

「ミッドナイト」は
カシスの香りがおだやかで好ましい

期待の新フレーバーミッドナイト

 やはり注目は、新フレーバーのミッドナイトだろう。これは、日本のコーラ好きのおよそ半数が、コーラを夕方~夜の時間帯に飲むことに着目されて作られたという。しっかりとした飲みごたえはそのままに、カシスの香りがただよい、夜に飲むのにふさわしい味わいになっている、とのことだ。

カシス風味。無果汁

 ペプシのフレーバーコーラということで、かつての謎フレーバーたちを思い出す人たちもいるだろう。しかし、これは上品。カシスの香りが「ただよい」というところにウソはない。カシスが強すぎてコーラの味を消すということもなく、匂いに少し、後味に少し、という感じでいい塩梅になっている。

色味がとても紫というわけではない。匂いはカシスですね

 一方であくまで無果汁のカシス風味だから、それほど「カシス感」がないのはちょっとさびしいところもある。飲む前は「これでカクテルを割ったらおもしろいのでは」と思ったけれど、スピリッツなどと混ぜたら香りが消えてしまいそうな気もする。むしろ「カシスリキュールとコーラを混ぜた」あたりのテイストをめざしたのかもしれない。意外と、おとなしい味だ。

おいしくないわけではないが
強みが見えてこない

 正直に言えば、Jコーラシリーズについては、どう評価していいかよくわからないところがある。新しいコーラですよ、と言って出てきたものの、すごく斬新な味でもないし、いままでにないおいしさが目立っているわけでもない。飛び抜けて変わっているわけでもないので、こういってはなんだが、SNSで“ネタ化”されることもないだろう(もとよりそれを狙った味ではないだろうけれど)。

 「ちょっと変わった味のペプシコーラ」にどこまで魅力があるのだろうか。コーラだけで考えてもコカ・コーラという強力なライバルがいるし、サントリーとしても話題性のある商品を出したいのはわかる。わかるけれども。

 筆者の味覚が偏っているのだろうか。でも、編集部員に飲んでもらっても、そうなのだ。「まずい」という人はいない。だけれども「もう大好き、これを飲む」という人もいない。「違うような気がするんだけど……」という具合で、決め手に欠けるのでは、と評する声が多かった。普通のペプシコーラが飲みたい、と言う人さえいた。たしかに、オーソドックスなペプシコーラを飲む機会は減ったような気がする。

 日本の清涼飲料水メーカーでは、サントリーHDのシェアは24.1%、コカ・コーラボトラーズジャパンのシェアは23.7%という調査がある(イーストとウエストは2017年に統合)。まさに実力伯仲。このあたりで一発、コーラでライバルににらみをきかせたいという意図もあったかもしれない。

 ただ、Jコーラシリーズにはすこし物足りなさを覚える。このまま市場からフェードアウトされたら、なんだか味そのものさえも忘れてしまいそうだ。結局、どこが日本向けで、どこがコーラ好きに刺さるのか。すべて飲み終えても、疑問は消えなかった。大ヒットして、「モーダル小嶋は見る目がなかったな」となってくれれば、それに越したことはないのだけれども。

逆に海外で発売したらどうなるのか気になる。受け入れられるのだろうか、埋もれるのだろうか




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