ダイソンが今月20日に発表した、同社史上最強のコードレススティック掃除機「Dyson Cyclone V10」。同社ではコードつき掃除機よりも確実にゴミを吸い取ると豪語し、コードつき掃除機の製造を一切やめると宣言しました。電源コードをコンセントにささなくてもいいスティック掃除機はたしかに便利ですが、なぜそこまでコードレスにこだわるのでしょう。簡単にまとめました。
市場背景
市場背景としてはコードつきのキャニスター式掃除機の頭打ちが挙げられます。GfKジャパンによれば、昨年4月までのコードレススティック掃除機の量販店販売実績において、ダイソンは数量ベースで5割超、金額ベースでは6割超のシェアをもっています。市場全体では、コードレススティック掃除機が前年比22%の増加を見せたのに対し、キャニスター式掃除機は14%減少しています。
技術発展
一方、モーターやバッテリーなどの技術進化によって、コードの技術的必然性がなくなってきたという見方もできます。「ダイソンが得意とする流体力学の部分、要はサイクロン技術の発展、そして以前から注力的に投資してきたモーターとバッテリー技術が、コード付きを超える、しっかりと掃除できるコードレス掃除機を生み出すまでのレベルに達した」と同社はコメントしています。
掃除機性能
Dyson Cyclone V10に搭載するデジタルモーター「DDM V10」は毎分最大12万5000回転、重量125g。2年前に発表した「DDM V8」の毎分最大11万回転、重量225gに比べると、回転速度が速くなり、軽くなっています。電源はニッケル、コバルト、アルミニウムで組成した7セルバッテリー。最長運転時間は約60分で、「Dyson Cyclone V8」の約40分よりも20分伸びています。
電気自動車
モーターとバッテリー技術の行き着く先は電気自動車です。同社は昨年9月、2020年までに電気自動車市場に参入すると表明しました。EVの駆動に欠かせないデジタルモーター、そして次世代バッテリーとして期待されている全個体電池に1億ドル以上を投じています。もともとダイソン掃除機の強みであるサイクロン機構はディーゼル車につける排気フィルターとして研究したもの。同社はコードレス掃除機の開発を通じて、EVに必要な技術を発展させてきたといっても過言ではありません。
未来の技術
掃除機のモーターとバッテリーが電気自動車に使われるわけではありませんが、最新コードレス掃除機に未来の電気自動車に通じる技術が入っていると思うと、心をくすぐられるところがあります。これからコードつきの電気自動車ができると考えるのはむずかしいですしね。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味。赤ちゃんの父をやっています。育児コラム「男子育休に入る」連載。Facebookでおたより募集中。
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