※本記事は2018年1月9日、Mogura VRに掲載された記事を転載したものです
HTCはラスベガスで開催中のCES2018にて、PC向けVRヘッドセットVIVEの上位機種「Vive Pro」を発表しました。Vive Proは解像度2880×1600ドットのOLED(有機EL)パネルを搭載し、アンプを内蔵した高性能ヘッドホン、新へどストラップによりオーディオや装着感も向上。没入感を一層深めるとしています。
本機はVR体験の質をさらに追い求めるコンシューマーとエンタープライズ向けに発売する予定で、発売時期や価格については追っての発表となるそうです。
ポイントは画質・オーディオ・装着感の3点
解像度が約3Kに向上
Vive Proは両眼合わせて2880×1600ドットと、現行モデル2160×1200ドットより、解像度が78%向上しています。
パネルのサイズに大きな変更はないため、ピクセル密度が448ppiから615ppiになりました。その結果、VR内の文字がよりくっきりと表示されることで読めるようになり、没入感全体的に高くなったとのことです。HTCは、「89%の消費者が解像度が重要と考えている」との調査結果に言及し、Vive Proがこの声に答えていると主張していました。
なお、Vive Proを動作させるために必要なPCの要件は現行モデルからの変更は必要ありません。グラフィックスボードはGeForce GTX970 / RADEON R9 290以上となります。
オーディオ機構が強化
オーディオに関してはヘッドホンがヘッドセットと一体になっています。VRならではの3D音響に対応し、アンプを内蔵しています。マイクはデュアルマイクを採用し、さらにコミュニケーションが自然にできるようになっています。
装着感は大幅に向上
Vive Proでは装着感を大幅に改善したとしています。現行モデルは標準だとベルト型のヘッドストラップを備え、ヘッドホンなどは別途用意する必要がありました。また、別売りのデラックスオーディオストラップを使うことで、より快適に被ることができ、高い没入感を得られました。一方、Vive Proはデラックスオーディオストラップをベースに、さらにデザインが洗練されています。
今後登場予定の新型ベースステーションにも対応
Vive Proは、2018年中に登場するベースステーション2.0にも対応します。ベースステーションはHTC ViveのVR体験を支える位置トラッキング技術です。次世代のベースステーション2.0に対応することで最大4つまでのベースステーションの同時利用、最大10m×10mの範囲でのトラッキングが可能になります。ベースステーション2.0に関してはVive Proとは別の展開となり、発売時期も異なるとのことです。
謎のフロントカメラの詳細は公表されず
Vive Proの前面には、1対のステレオカメラが搭載されています。HTCによると、このカメラは「クリエイターに使いかたを考えてもらいたい」とのことですが、現時点では詳細は話せない、とのこと、現実を立体感のある3D認識することができるのか、それともWindows MRヘッドセットのようなインサイドアウト方式の位置トラッキングが可能になるのか、謎のフロントカメラにも引き続き注目したいところです。
より鮮明に、より快適に
筆者がVRゲーム「Evasion」でVive Proを体験したところ、後頭部のダイヤルはより回しやすく、スポンジが分厚くなったことで頭への締め付けは少なく快適になっていました。重さに関しては、重心の改善は行われていますが、やはりある程度頭に乗っているという感触は引き続き残りました。体感としてはWindows MRヘッドセットの中でも最軽量なLenovoのものほどは軽くなく、あくまでも現行モデルのHTC Viveからは軽くなったという印象です。
アンプ内蔵のヘッドホンからは心地よく解像感の高い音が流れ、密閉性こそありませんが周囲の音がかき消されてよりVRの世界に没入できました。また、一緒にプレイしている別のプレイヤーの声が非常に鮮明に聴こえてきたことも特徴的でした。ざわついている体験ブースに2人ともいましたが、雑音がかなりカットされ綺麗に聴こえました。
解像度に関しては、確かに美しくなっています。特に、これまでボヤけていることの多かった文字がくっきりと表示されている点は大きな改善点でした。コンテンツ自体が通常のHTC Viveと同じ解像度で描画されているため、今後最適化が行なわれれば、よりグラフィックの質の高いVR体験ができるのだろうと期待させられました。
WiGig技術を利用したワイヤレスアダプターも登場予定
Vive Proと合わせてHTCは、HTC ViveおよびVive Pro用の「Viveワイヤレスアダプター」を発表しました。PCとの無線接続を可能にし、ケーブルが不要となります。無線にはインテルのWiGig技術を利用し、60GHz帯で通信を行ないます。遅延の感じられない快適なVR体験が可能になるとのこと。2018年第3四半期に発売されます。
コンテンツ配信プラットフォームViveportはVRファーストに
合わせて、HTCはVRコンテンツを配信するプラットフォームViveportについて、これまでの平面的なデザインを脱し、VRに最適化した「VRファースト」なユーザーインターフェース「Viveport VR」を提供することを発表しました。また、360度動画を探し、視聴することに特化したプラットフォーム「Vive Video」もVimeoとの提携により提供されるそうです。
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