CES 2018レポート 第4回
GeForce GTX 1060 Max-QデザインのゲーミングノートPCを超える性能
Radeon RX Vega M内蔵第8世代Core「Kaby Lake-G」&新型NUC「Hades Canyon」レポート
2018年01月09日 07時00分更新
米Intelは7日(米国時間)、Radeon RX Vega M Graphicsを搭載した第8世代Intel Coreプロセッサーを発表した。Radeon GPUを1パッケージで搭載した「8th Gen Intel Core with Radeon RX Vega M Graphics」と呼ばれるもので、高いグラフィック性能が特徴だ。本稿では現地で展示物を撮影できたので、その写真とともに改めて8th Gen Intel Core with Radeon RX Vega M Graphicsを紹介しよう。
同プロセッサーは、もともと開発コードネーム「Kaby Lake-G」として開発されていたもの。プロセッサーとしてはCore i7-8809G、Core i7-8709G、Core i7-8706G、Core i7-8705G、Core i5-8305Gの5製品からなり、ディスクリートGPUとしてRadeon RX Vega M Graphicsが、内蔵GPUとしてIntel HD Graphics 630が搭載される。
Core i7-8809Gとi7-8709Gが24コンピュートユニット(CU)で各種スペックの高いRadeon RX Vega M GH Graphicsを搭載。プロセッサーの周波数は最大4.2GHz、4コア/8スレッド、8MBキャッシュで、4GBのHBM2を搭載してTDPは100W。Core i7-8706Gとi7-8705G、i5-8305Gが20CUのRadeon RX Vega M GL Graphicsを搭載し、プロセッサーの周波数は最大4.1GHz、4コア/8スレッド、8MBキャッシュで、4GBのHBM2を搭載してTDPは65Wとなる。
第8世代Intel Coreプロセッサーはゲーミングやコンテンツ制作、VR/MRといった比較的パフォーマンスを必要とする用途での利用をターゲットにしており、同プロセッサーはそれに応えるためにIntel EMIB技術によってディスクリートGPU、さらに広帯域メモリーのHBM2を1パッケージで搭載することでパフォーマンスを高めた。
フットプリントを50%削減し、CPUとGPUの厚みも1.7mmに抑えるなど、パッケージ自体の薄型・小型化も実現。電力効率も高めており、省電力化も実現した。
Intelでは3年前のPCとの比較を例に挙げており、15.6インチサイズのゲーミングノートPC同士を比較すると、厚さが33mmから17mmに削減。約2.7kgが約2kgに軽量化。バッテリー駆動時間は4.7時間以下が9.3時間以下と大幅に伸びている。
8th Gen Intel Core with Radeon RX Vega M GL Graphicsと3年前のCore i7-4720HQとGeForce GTX 950Mの組み合わせで各種ベンチマークを行なった結果、生産性は1.6倍、グラフィックス性能は2倍以上、トランスコードは6.7倍などの結果になったという。また、Core i7-8550UとGeForce GTX 1050の組み合わせとのベンチマーク比較では最大1.4倍の性能差があったという。
8th Gen Intel Core with Radeon RX Vega M GH GraphicsとCore i7-4720HQとGeForce GTX 960Mの組み合わせとのベンチマーク比較では、生産性が1.6倍、グラフィックスが最大2.7倍で、各種フレームレートテストではすべて60fpsを超えた。Core i7-7700HQとGTX 1060 Max-Qの組み合わせと比較したところ、最大で1.13倍の性能差となった。
CPUとGPU、メモリーを1パッケージにしたことでコンパクトなボディーを実現できるとしており、Intelでは2in1や軽量ノートPC、ミニPCといった用途に適しているとする。これを実際に採用したのが、Intel自身によるNUCの新モデルだ。
このIntel NUCは開発コードネーム「Hades Canyon」と呼ばれていたもので、「NUC8i7HVK」と「NUC8i7HNK」の2モデルを用意。それぞれCore i7-8809G(Radeon RX Vega M GH)とCore i7-8705G(Radeon RX Vega M GL)を搭載する。
Thunderbolt 3、ギガビットイーサネット、HDMI、USB Type-Cなどの各種インターフェースも充実。IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2にも対応する。
Intelは3年前のデスクトップPCとの比較を挙げており、容量は33リットルから1.2リットルに、システム全体の消費電力は400W以上から230Wに、CPU、GPU、メモリーの電力は210Wから100Wへと削減。さらにファンレスで静か、持ち運びも可能といったメリットもあるとしている。
コンパクトなサイズながら、VR/MR、コンテンツ制作、4K映像の再生、1080p・60fpsのゲームなど、ハードな利用も可能だという。さらに、このプロセッサーを搭載したPCとして、HPとDellが発表を予定しているほか、今後各社が搭載製品を提供していくことが見込まれる。
【2018年1月9日15:30追記】
HPは1月8日(米国時間)に8th Gen Intel Core with Radeon RX Vega M Graphicsを搭載するノートPC「HP SPECTRE X360 15」を発表。HP SPECTRE X360 15は15.6インチの4K液晶を採用した、厚さ19.45mm以下の2in1 PCで、液晶部がぐるりと360度回転する。コンテンツ制作に最適なマシンとのこと。
【2018年1月10日13:50追記】
Dellは1月9日(米国時間)、8th Gen Intel Core with Radeon RX Vega M Graphicsを採用した2in1 PC「XPS 15 2-in-1」を発表。15.6インチの4K液晶ディスプレーを備えた厚さ16mmの超薄型モデルで、基板は従来のデザインから30%縮小した。重量は4.3ポンド(=約1.95kg)と2kgを切る。
■関連サイト
第8世代Coreプロセッサー with Radeon RX Vega M Graphics
Intel NUC
この連載の記事
-
第27回
AV
血圧計搭載やプロジェクター内蔵、自己発電まで、CESで見つけたスマートウォッチ -
第26回
デジタル
2018年はe-SportsやVRを強化! CESで見たデルのゲーミングPC -
第25回
デジタル
スカーゲン&ケイト・スペード初のスマートウォッチはオリジナル要素が充実 -
第24回
AV
こんなものまで声で操作、CESで発見した音声操作の“意外な家電” -
第23回
デジタル
ついにVRは無線へ VIVEワイヤレスアダプターは遅延気にならず -
第22回
デジタル
セキュリティ専門家・ギャリー・デイビス氏が2018年の脅威を語る -
第22回
AV
独自AIのスマート家電など盛りだくさん CESのLGブースレポート -
第21回
AV
新規格「HDR10+」は2018年にHDRのスタンダードになる! -
第20回
AV
完全ワイヤレスの音切れなくす? 期待のクアルコム新チップ -
第19回
AV
2018年のヘッドフォントレンドをCESから探る、完全独立型や音声操作に注目 -
第18回
AV
ソニーの新完全ワイヤレスイヤフォンからTechnicsのターンテーブルまで、CESのオーディオ製品を総まとめ - この連載の一覧へ