日本では松の内が明けたか明けないかの内に騒ぎとなったインテル製プロセッサーの脆弱性に関する報道。
もともとは2017年の早い時期に発見されたもので、その問題の大きさもあってGoogleでセキュリティー問題の対処を行なうProject Zeroチームが昨年から主要なCPUベンダーやOSベンダーに連絡を行なっており、今年の早い時期に対応を含めたアナウンスが行われる予定であった。
ただこの情報が、オフィシャルアナウンスの前に流出した。当初はロシアの4chanで報じられたらしいのだが、当該スレッドは見つけられなかった。ただ広く報じられるようになったきっかけは、The Registersの記事である。これを受けて主要なベンダーはいずれも自社の製品についてのアナウンスを緊急に公開している。
一覧で示すと、以下のようになる。他にOSベンダーやクラウドプロバイダーなども相次いでレポートを出しており、まもなく主要なOSについては対応が出そろうはずだ。
この問題が大きく取り上げられるようになった理由は、その性能低下である。The RegisterではPostgresqlでのテスト結果を示して、17~23%の性能低下があると報告。
PostgreSQL SELECT 1 with the KPTI workaround for Intel CPU vulnerability https://t.co/N9gSvML2Fo
— The Register (@TheRegister) 2018年1月2日
Best case: 17% slowdown
Worst case: 23%
これもあってインテルは第三報で主要なクラウドプロバイダーがいずれも「目立ったパフォーマンスの低下はない」と述べていることをわざわざ報じる羽目になった。ただ現実問題としてまったく性能低下がないか? というとそれも正確ではない。
本誌でおなじみKTUこと加藤勝明氏も以下のようなMentionを残しているから、多少なりとも影響があるのは事実ではある。そこでそもそもSpectre/Meltdownとは何で、どんな影響があるのかをまとめて解説しよう。
Meltdown対応パッチ前と後でFF14ベンチ(1080p,最高品質)を回してみたけど、21237→20400、平均フレームレートにして3fps程度下がったな。こりゃー全部取り直さないとアカンわ……
— Katsuaki Kato (KTU) (@kato_kats) 2018年1月5日
CPU:8700K、GPU:OTV
今回の脆弱性は、SpectreとMeltdownという2つに分類される。正確には以下の3つの脆弱性があり、最初の2つがSpectre、3つ目がMeltdownと分類されている。
インテル製プロセッサーの3つの脆弱性 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Variant 1 | CVE-2017-5753 bounds check bypass (境界チェックのすり抜け) | |||||
Variant 2 | CVE-2017-5715 branch target injection (分岐先の書き換え) | |||||
Variant 3 | CVE-2017-5754 rogue data cache load (不正なキャッシュアクセス) |
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