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操作説明書だけで187ページの大作!宛名印字したいだけなんだけど……

落とし穴だらけの送り状印字ソフト「ゆうパックプリントR」体験記

2017年12月28日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders

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日本郵便が提供する「ゆうパックプリントR」というソフトをご存じだろうか? ゆうパックの送り状を会社のパソコンとプリンタで印字できる無料ソフトウェアなのだが、使うまでの苦労が半端ない。奥さんの体験談から日本のソフトウェアのダメな部分が垣間見えるこのソフトをいろいろ分析してみたい。

使えれば便利なのに、ややがっかり感のあるゆうぷりR

ゆうパックの送り状を出力できて便利なはずなのだが……

 お歳暮や年末調整、年が明けると年度末と言うことで会社の郵送物も増えるシーズンだ。さすがに送り状を一枚一枚手書きするのも大変なので、送り状ソフトで作業を効率化したいと考えている人は多いだろう。なにを隠そう、不動産会社に勤務しているうちの奥さんもその1人だ。

 不動産会社で賃貸物件の更新手続きを担当している奥さんは、毎月100通近くの更新手続き依頼を出す必要があり、年度末はもっと増える。さすがに全部手書きはきついということで行き着いたのが、日本郵便が提供する無料の送り状印字ソフト「ゆうパックプリントR」(以下、ゆうプリR)という無料ソフトだ。奥さんの会社の用途では、不動産の更新手続きの書類送付に配達確認ができるゆうパックを使っているので、こういう印字ソフトがあると仕事もはかどるはずだ。

 ゆうプリRを使えばPCで送り状情報を入力し、送り状を会社のパソコンから印字できる。あとは印字した送り状を配送物に貼って集荷してもらえばOK。ゆうパックだけでなく、ゆうパケット、ゆうメール、普通郵便などの各種サービスでも使えるという。「これは便利そう!」ということで、奥さんもさっそく使おうとしたのだが、導入までにはさまざまな壁が待ち受けていた。

インストールや初期設定など落とし穴はいっぱい

 調べてみると、ゆうプリRの発表は今から3年前。もともと「ゆうパックプリント」というソフトがあり、2014年にリニューアルしたらしい。マニュアルにある構成図を見ると、Windowsアプリと郵便局側のデータベースをインターネットでつないだクライアント/サーバー型で、手元のプリンターで印字したラベルを荷物に貼り付けて発送すると、配送状況も確認できるという仕組みになっている。

 いろいろ便利そうなゆうプリRだが、郵便局員はゆうプリRについてよく知らない。会社に集配に来た郵便局員にゆうプリRについて聞くと、口をそろえて「ああ、ゆうプリRですか~」とひとしきり嘆息し、専用のサポート窓口の利用を勧められるという。とはいえ、話を聞くとゆうプリRを使うと郵便局の職員がデータ入力する手間が省けて楽になることもわかった。だったらもっと利用を推進すればいいのに。

 また、ゆうプリRはインターネットからダウンロードすればすぐに使えるという代物ではない。そもそも印字するラベルを郵便局から送付してもらう必要があるため、まずは最寄りの郵便局で住所や電話番号を申込書に記入する。奥さんの場合は電話で済んだようだが、いずれにせよ申し込みが済むとメールでIDとパスワード、ダウンロードページが案内される。ちなみにゆうプリRを利用するには1台単位で法人番号にあたる会員番号、ID、パスワードの1セットが必要になる。1台1つのアカウントが紐付くので、複数のパソコンで使う場合には、別途で申し込みが必要になる。

 インストールの障壁も高い。提供されているのがWindows版のみなのはともかく、別途で.NET FrameworkやAccess Database Engine 2010も必要になるため、Officeがない場合は別途インストールが必要。奥さんがはまったのはWindows 10の64ビット版をインストールしたら起動しないというエラー。どうしても動かずサポートセンターに電話したら、Officeが32ビット版の場合はゆうプリRも32ビット版が必要になるとのこと。32ビット版をインストールしたら、とりあえず動いたようだ。

難しすぎて社内では奥さんしか使えない

 奥さんの会社では困らなかったらしいが、ゆうプリRは常時インターネットで通信する仕様で、起動時は毎度アップデートの有無を確認しに行くため、起動も時間がかかるらしい。セキュリティソフトによるフィルタリングもけっこう面倒で、「フィルタリング編」というマニュアルが別途で用意されているほど。ちなみにゆうぷりRはマニュアル類も膨大で、インストール手順書だけで31ページ、初期設定機能の説明書で61ページ、操作説明書で187ページに上る大作。こうなると、もはやサーガのレベルだ。ちなみに目を通したところ、マニュアルにはサーバーのIPアドレスも書いてあった。うむ。

 ようやく起動するといかにもWindowsの古い業務ソフト感が漂う画面が登場。会員番号とユーザー名を登録したら、あとは「発送管理」で宛先を登録し、印刷ボタンを押せば良さそうだが、印刷ボタンがグレーアウトして押せない。奥さんが、またもやサポートに電話してみると、使用する送り状を事前に指定する初期設定が必要になるとのこと。直感はまったく当てにならないわけだ。

かんたんモードでこんな感じの画面なんだぁ(震え声)

 受託開発会社が日本郵便の依頼に基づいてひいこらがんばって作ったけど、仕様にあわせて作ったら、ユーザーフレンドリーからほど遠いモノができてしまったというイメージが漂うゆうプリR。バージョンアップも頻繁に行なわれているようだが、不具合の修正が多いようで、追加開発やマニュアル作りで疲弊しきった受託開発のエンジニアの姿が見えるようで、なんだか心が痛い。

 「正直、誰が使うんだろう」とは、ようやく利用にまでこぎ着けた奥さんの弁。会社の中でITリテラシの高い方に属するうちの奥さんは、周りから「社内ではオオタニさんしか使えないね」と言われているようだ。

 ちなみに日本郵便の名誉のために言っておくと、Webブラウザベースの「Webゆうパックプリント」というサービスも用意されている。その旨、奥さんに話したら「早く言ってよ~」というSansanのCM的な対応をしていたので、次はこちらにもチャレンジしてもらおう(と思ったら、もうこりごりだそう)。

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