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電子国家計画の中枢機能

エストニアの電子通貨「エストコイン」構想を担当大臣が明かす

2017年12月26日 19時45分更新

文● 天野透/ASCII

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 3つ目のユーロひも付けについて、これは財界から少なくない波紋を呼んでいる。

 通貨である以上、信頼性を何かで担保しないとエストコインは価値を得られない。金本位制だったかつてのポンドやドルは、通貨の価値を金で担保していた。近年ではベネズエラで石油や天然ガスなどのエネルギー資源を担保にした電子通貨発行の動きがあるという。

 一方現代の通貨は、発行元の信用度、つまり日本円ならば日本国の経済的信用によって価値が決まる。対してビットコインなどの仮想通貨は、信用を担保する原資や発券銀行のような管理者は存在せず、需要と供給という純粋な経済原理によってのみ価値を与えられている。 ではエストコインはどうか。コージュス氏によると、同額のユーロをエストニア政府が担保する構想だ。平たく言うと“ユーロ本位制”である。

 この動きに対して、ヨーロッパ中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は「ユーロ圏を構成する国は独自の通貨を導入できない」との見解を9月に発表。エストコインに待ったをかけた。ユーロと価値が同じエストコインはユーロの代替通貨であり、これはエストニア政府がエストコインを通して自由な裁量でユーロを発行することを意味する。

 こうした指摘に対してコージュス氏は、流通をe-レジデンシーのコミュニティー内に制限し「ユーロの代替通貨を提供することはない」との対策を示した。エストコイン独自の価値はどこにあるかというと、e-レジデンシー、つまり電子国家の国籍である。エストコインを通じてエストニアで起業しようとするユーザーにとっては、現実の外国為替と同等の投資価値が生まれるのである。

 国家によるICOの試みは、中国やロシアなどでも発表されている。エストコイン計画は進行中だが、正式発表のスケジュールは公表されていない。

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