右も左も似たようなデザインが多いスマートフォンに対し、最近のデジカメはデザインに凝ったカメラっぽくない製品が増えています。たとえばカシオは10月に腕時計の「G-SHOCK」をカメラにしたようなスタイルの「G'z EYE」をリリースしました。カシオのデジカメはデザインに凝った製品が多く、海外ではこの冬から女性をターゲットにしたセルフィーカメラ「TR mini」も発売しています。
まるで化粧品のようなデザインのTR miniですが、こんな形のIT製品なら女性も気軽に購入できそうですよね。でも、同じことをはるか昔に考えていたメーカーもあったのです。しかもそれはデジカメではなく携帯電話でした。ファンデーションのコンパクトのように丸い形で、開くと携帯電話になる、そんな端末が過去に販売されていたのです。
「G70」という製品名の下に「Panasonic」の文字が見えるこの携帯電話、日本のパナソニックが2003年に海外で発売した製品です。よく見ると背面にディスプレーがありますね。モノクロですが、ここには時計やダウンロードしたロゴなどを表示できたようです。ヒンジの上方には小さなストラップホールがあり、ここにネックストラップを付け、首からぶら下げて使うことを想定していたようです。本体サイズは開くと88× 60×27mm、円の径は60mmと手の平にすっぽりと収まる大きさです。
蓋を開くと10キーがアナログ電話機のように円周上に並びます。中央には発着信ボタンなどを配置。ちなみにこの10キー部分を開くと、その下にバッテリーとSIMが入るようになっています。そして蓋の内側には96×128ドットの液晶ディスプレーを搭載。そのディスプレーを囲むように円形の鏡が配置され、液晶表示がオフの時は全体が鏡となります。
普段はハンドバッグに入れておき、小型の鏡として使うこともできそうです。また、通話するときに両手で持って数字キーを押す様は可愛らしく見えるでしょう。使うことだけではなく見せることも考えた携帯電話だったのです。
なお、このG70が入る小型のハンドバッグ型ポーチも限定で提供されていました。G70を入れると製品名部分が見えるなど、なかなか考えたデザインにもなっています。女子受けを本気で狙った製品だったんでしょう。
さてこのG70とほぼ同じ時期に登場したのが、XELIBRI(ゼリブリ)の「No.6」です。XELIBRIはシーメンスのファッションブランドとして2003年に登場しました。春先にNo.1からNo.4の4モデル、秋にNo.5からNo.8の4モデルが登場。その秋モデルのうちのひとつのNo.6がコンパクト型だったのです。しかしパナソニックと類似デザインの製品が共作になるとは、両者とも考えてもみなかったでしょうね。
本体サイズは84×752×6mm。遠景は75mmでG70より一回り大きくなっています。蓋を開けるとXELIBRIロゴの入ったクロスが挟まっているのがおしゃれ。液晶面を拭いたり、蓋の内側に10キーが当たって傷がつくのを防ぐ意味があります。お堅いイメージのシーメンス製とは思えぬでき栄えですが、XELIBRIはそんな同社のイメージチェンジを図るために生まれたファッション携帯電話だったのです。
数字キーは左右に並ぶ独特の配置。そして下部には方向キーが並びます。ディスプレーは80x101ドットとG70よりも小さめ。蓋の内側はG70とは異なり液晶画面は鏡にならず、その周りだけが鏡となります。とはいえ数字キーの中央部分にも小さい鏡があるので、お化粧直しをするときなどはこちらを見ればよいのかも。このNo.6もやはり鏡としても使えるわけです。
ちなみにG70もNo.6もGSMの携帯電話。今でもSIMを入れれば通話可能です。どちらも筆者が発売後に購入したのですが、14年前の製品なのでバッテリーは使えなくなっていますし、No.6は液晶が経年劣化で内部破損していました。ということで通話テストはできなかったものの、蓋を開いて耳に当てた姿にあまり違和感はありません。
最近は通話オンリーのカード型携帯電話が出てくるなど、スマートフォンのサブに使う端末の需要も一定数あるようです。女性向けの通話端末としてこの手のデザインの製品が復活するのもありでしょう。あるいは携帯電話としてではなく、スマートフォン用のBluetooth通話機としてもいいかもしれません。いっそのこと、この形のスマートフォンが出てくれば面白いのですが、どこかのメーカーさんが作ってくれないでしょうか?
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