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トランプ政権の研究費削減はナンセンス、前科学顧問が批判

2017年11月12日 23時10分更新

文● Jamie Condliffe

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オバマ政権で科学技術補佐官を務めたハーバード大学のジョン・ホルドレン教授は、トランプ政権によるエネルギー研究費の大幅削減には先見の明がないと批判した。エネルギー問題への取り組みは、雇用の増大、大気汚染の緩和など社会に計り知れない利益をもたらすという。

ハーバード大学のジョン・ホルドレン教授は、ホワイトハウスの顧問を務めていた間、米国の多くの主要な気候変動政策の立案を促進した。ホルドレン教授はクリーン・パワー・プラン(電力事業者向けの二酸化炭素排出削減に関する政策)をまとめ、米国のパリ気候協定批准を主導した。しかし、ドナルド・トランプが大統領に選出されて以降、次々と発令された大統領令のため、こうした取り組みは振り出しに戻ろうとしている。

11月7日、ホルドレン教授はMITテクノロジーレビュー主催のEmTechカンファレンスで、トランプ大統領に代わって最もやっかいなのは、 連邦政府が支出する研究費だと指摘した。オバマ前大統領と19カ国の指導者らは、パリ気候協定の一環として、クリーン・エネルギー研究への出資額を倍増すると誓った。しかし、トランプ大統領は政府のエネルギー研究開発費を半分に削減すると述べている。

予算削減はクリーン・エネルギーの未来を左右するエネルギー分野の進歩を損なうものだと、ホルドレン教授は警告した。特に、前途有望な技術である二酸化炭素の回収・貯蔵、航空機用クリーン・バイオ燃料、次世代型原子炉はいずれも現在は商品化には程遠く、今後数年間にわたって予算が割当てられない場合、実現しない恐れもあると述べた。

トランプ政権の政策は短絡的だ、とホルドレン教授は語る。「私たちは技術革新を短期的には過大評価し、長期的には過小評価しがちです。気候変動による大きな経済的な損害から身を守るために、世界総生産(GWP)の3%を使ったとしても、その資金はブラック・ホールに飲み込まれてしまうわけではないのです」。それどころか、雇用を増大させ、大気汚染を緩和し、その他の社会的な利益をもたらすのである。


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