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就職したい! 高待遇すぎるブッキング・ドットコム本社の職場環境

2017年12月03日 12時00分更新

文● ドリル北村/ASCII編集部

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ブッキング・ドットコム本社で働く日本人に聞く
オランダと日本の違い

 ブッキング・ドットコム本社には100ヵ国以上のスタッフが従事しているが、そのなかにはもちろん日本人もいる。ブランドコミュニケーション・マネージャーの林田さやかさんに、オランダと日本の職場環境の違いについて聞いてみた。

ブランドコミュニケーション・マネージャーの林田さやかさん。MBA(経営学修士)を取得するためにオランダに渡り、取得後ブッキング・ドットコムに入社。オランダに渡る前は日本の大手企業に勤務していたそうだ

 まず敬意の払い方が大きく違うという。日本は仕事優先。どんなに約束があっても仕事を終えないと帰れない。オランダでは、プライベートが尊重されるため、会議を早退してパーティーに出席しようとしても反対されない。むしろ早く行きなよと言われるそうだ。

日本はどんなに約束があっても仕事を終えないと帰れない。オランダではたとえ私用であっても、きっちり自分の職責を会議を全うする限り会議を早退してもいい

 仕事そのものについても、日本ではプラスアルファのスキルが個人の評価につながる。しかし、オランダではやるべき仕事がしっかり決められており、それの成果だけを求められるという。

 他人の担当する仕事でおかしなところを見つけても意見を言えず、「あれはあの人の担当だから私は知らない」となる。他人に口を出してる暇があったら自分の仕事に集中して100%の成果を出しなさいということだ。

日本ではプラスアルファのスキルが評価される。オランダではやるべき仕事が決められており、それ以外のことは評価につながらない

 コミュニケーションにおいては、日本では1つの文章から言葉の裏を読んで10の内容を理解しなければならないが、オランダは実にシンプルで、言葉の裏を読むことはない。文章に内容がそのままストレートに相手に伝わるとのこと。

 同じ「NO」でも、日本では本当はYESなのに謙遜してNOと言ってるのか、YESに近いニュアンスのNOなのか、キッチリNOなのか、NOの後になにか続くのではないか? などいろいろ頭で考えるが、オランダで「NO」といえばそのままストレートにNOと判断する。

 外国人は、日本人のように「察する」ということがない。したがって自分の意見はハッキリと相手に伝えなければならない。曖昧な答え方では、決断を下せない人間として自分の評価を下げてしまうことになる。

日本では1つの文章から言葉の裏を読んで10の内容を理解しなければならないことが多いが、オランダではそれがない。1つの文章から1つの内容を得る。裏表がなく実にシンプル

 仕事のパートナーについても違いがあると林田氏は言う。日本では、部署のトップに上司がいて、次に先輩、最後に自分というようなヒエラルキーが存在するが、ブッキング・ドットコム本社ではいろいろな国の人が混ざるので仕事のスタンダードがない。したがって、コミュニケーションのディスカッションが不可欠とのこと。

 文化的な違いからディスカッションは非常に重要で「チームとはなにか?」という根本的な議題から始めるそうだ。ここで意思疎通しておくのが肝心だという。また、ある国では問題のない言動でも、ある国ではタブーになる可能性があるため、そのためのミーティングも実施するそうだ。

組織においても、日本では縦割りだが、オランダでは横並び。しかも、価値観や文化の違いが存在するため、ディスカッションを通して共通認識を作りあげることが必要となる

 日本では、業務を進めるうえでこれまでの経験が物を言い、経験豊かな人や専門家が言うことに従う傾向にある。ところが、オランダは何事にもデータを示さないと相手の理解を得られない。

 これは林田氏自身の体験談だそうだが、「ラーメン屋さんに女性客はいるのか?」という問に対して、「いる」と答えただけでは信用してもらえなかったそうだ。その根拠として、自身がラーメン屋に行ったことがあるということを訴えてもダメで、店内に女性がいる写真をネットで探し、それを提示してようやく理解してもらえたという。

 日本人にとって常識でも、外国人からすればそれは常識ではない。逆も然りで、相手に理解を求めるなら、それ相応の根拠を示さないといけない。多様な国の人々が働く職場では、それを頭に入れておかないと仕事が進まないことになる。

日本では経験が物を言うが、オランダではデータを示さないと相手の理解を得られない

求めるものはシンプルさ
日本人から見たブッキング・ドットコム

 Bookin.com本社の職場環境と、日本とオランダでの仕事に対する意識の違いがわかったところで、最後に林田氏の仕事内容について触れておこう。

 彼女はコピーライターとして、日本の代理店や韓国オフィスと連携した仕事に従事している。コピーライターというよりかはエンジニアに近い仕事内容だという。現在はブランドコミュニケーション・マネージャーとして、広告やソーシャルメディアの担当をしている。

 ブッキング・ドットコムは日本でのサービス展開に非常に力を入れている。そうすると、日本人の嗜好に合った日本語サイトの構築はもちろん、海外から日本にやって来る外国人旅行者のために、提携ホテルの確保やキャンペーン施策なども必要になる。彼女はそういった部分で手腕を振るっている。

オランダに来て4年、ブッキング・ドットコムに入社して3年が経つという林田さやかさん。充実したオフィスライフを送っていることが、その笑顔からもわかる

 ブッキング・ドットコムはシンプルさと使いやすさを前面に押し出している。林田氏によると、「早い」「簡単」「シンプル」この3つを満たせばサイトのアクセス率が上がり、予約につながるという。

 海外では予約できるホテル数の多さがユーザーの獲得に効果的なところもあるが、日本でそれはあまり効果がない。日本人がOTAに求めるものはシンプルさだと林田氏は語る。日本の企業がサービスを提供するOTAは選択肢が多すぎて疲れるという声もあるそうだ。

 そこでブッキング・ドットコムでは、ABテストという医薬品のテストと同じ方法を取り入れ、常にユーザーの使いやすさを向上させている。サイト上の日本語表記でもこのABテストは活かされている。いかにわかりやすくシンプルに言葉を伝えるか。その文章の組み立てに、林田さんの意見が反映されている。

 国によってサイトの特徴を変え、その国のユーザーにとって一番使いやすいサービスを提供するブッキング・ドットコム。いかにそれを実現させているか、次回はそのカラクリについて解説したい

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