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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第426回

業界に痕跡を残して消えたメーカー PCとHPCの中間でうまく立ち回ったPyramid Technology

2017年09月25日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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AT&Tと協業
経営情報システムで業績を伸ばす

 AT&Tと協業した1989年からPyramidは新しいシステムを手がけ始めるが、その1989年に投入された、同社にとって3世代目のシステムがMIServerと呼ばれるものだった。CPUはまだボードタイプながら1枚に収まり、10MHz駆動で12MIPSを発揮するとしている。

MIServer。手前がCPUボード。奥に見えるのはキャッシュ(左)とメモリー(右)と思われる

 MIServerのハイエンドは12CPUボードを実装し、256MBのメモリーを搭載可能、システム全体では140MIPSに達する、というふれこみだった。

 最大構成では11MB/secのデータ転送チャネルを16本搭載、HDDを最大96GB接続可能となっていた。価格のほうも急激に跳ね上がっており、4CPU構成のマシンで70万ドルから、12CPUのハイエンドでは200万ドルからという価格付けになっている。

この筐体1つで6CPUまで対応できた模様

 そもそも名前に“MIServer”とつけるあたりからもわかるとおりMIS(Management Information Systems:経営情報システム)向けであり、ターゲットはワークステーションやスーパーミニコンというよりは明確にIBMのメインフレームの市場である。

 1990年には、若干スペックを変更したMIServer T(Turbo)をラインナップするが、CPUに関しては1CPUで14MIPS、12CPUで140MIPSと数字が変わっていないので、おそらくCPU以外の部分のスペックが変更になったようだ。ただ、独自CPUを使っていたのはこの初代MIServerまでである。

 1991年、このMIServerはMIServer Sに切り替わる。最大の違いはCPUで、従来の独自CPUから、MIPSベースのものに変更された。利用されたのは33MHzのMIPS R3000Aで、演算性能は12プロセッサー合計で300MIPSに達するという話だった。

 NetlibのDhrystoneデータベースを見ると、R3000の33MHzを搭載したマシンのDMIPS値は高くても31 DMIPS程度なので、これをそのまま使うと372MIPSほどになるが、ここまで性能が上がったかどうかは不明である。

 とはいえ、10MHz駆動のMIServerやMIServer Tより性能が上がったことは間違いない。しかも性能を上げつつ、エントリー構成で9万3000ドル、ハイエンドで350万ドルとかなりお安くなっていたあたりは、やはり汎用のCPUを使ったためであろう。

 この1991年には、AT&Tに加えてOlivettiも同社のシステムをOEM販売する契約を結んでおり、Lussier氏の手腕が光る形になった。1992年にはこのMIServe Sの後継としてMIServer SEも発表する。こちらはプロセッサーを33MHz駆動のR3000Aから37.5MHzのR3002Aに変更するとともに、最大24プロセッサーまで集積する。

 ハイエンド構成では256MB Memoryと175GBのストレージを接続するものが、220万ドルとさらにお安くなった。ただしエントリー構成は12万ドルとやや値上がりしている。

 1993年にはこれらを置き換えるNileシリーズが投入された。こちらはCPUに150MHz駆動のMIPS R4400を導入し、2~16 CPU構成としたものである。個々のCPUは92MIPSで、最大1400MIPSものシステムが構築できるとしていた。

 まず投入されたのが、ハイエンドにあたるNile 150で最大16プロセッサーと4GB メモリー、1TBのストレージ、72のI/Oコントローラーというお化けで、エントリー構成が45万ドルであった。ただこれはさすがにハイエンドすぎると思ったのか、1994年には下位モデルであるNile 100シリーズも用意する。

 こちらは最大8プロセッサーに抑えられ、メモリーは2GB、ストレージは250GB、I/Oコントローラーも26とされたが、その分エントリー構成は15万5000ドルまで価格を落としている。

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