裏面に電子ペーパーのE Inkディスプレーを搭載し、表と裏の両面が使えるスマートフォンとして、一部の愛好者に根強い人気を持つ「YotaPhone」。その最新モデル「YotaPhone 3」は今年登場予定とのことですが、なかなか姿を表してくれません。
しかしそのYotaPhoneのライバルと言える製品が登場しました。中国ハイセンス(Hisense)の両面スマートフォンです。ハイセンスはIFA 2017に合わせ、18:9のワイドディスプレーを搭載するスマートフォンも発表。変態チックな製品を次々とリリースしています。
スナドラ635搭載でサクサク動く両面スマホ「A2 Pro」
ハイセンスは1月のCES 2017で2画面スマートフォン「A2」をリリースしました。その後継機であり、スペックを高めた製品として「A2 Pro」が今回発表されました。本体の大きさに変更はなく、中身だけのアップグレードとなりますが、A2 ProはA2にはなかったブルーのカラバリが加わり、ブラックと合わせて2色展開となります。中国での予定価格は3000元台(約5万円台)、ヨーロッパなどグローバル展開も予定されているとのこと。2017年9月に発売予定です。
A2からの強化されたスペックは、SoCがSnapdragon 430から635へとパワーアップ。これにより全体のレスポンスが上がり、2画面どちらも快適に使えるようになりました。またカメラはリアが1600万画素とA2と同じですが、フロントが500万画素から1200万画素へと上がり、室内などでのセルフィーも楽にこなせるようになりました。メモリーは4GB、ストレージは64GBです。
5.5型フルHD(1080×1920)の有機ELディスプレーと、背面の5.2型qHD(540×960ドット)のE Inkディスプレーの切り替えは、画面右下のアイコンをタップします。すると画面を切り替えるか、画面のスクリーンショットを撮って背面に貼り付けるかの2つのメニューが表示されます。
画面切り替えのアイコンをタップして本体を裏返せば、今まで表示されていた画面がそのままE Ink側でも表示されます。裏面ももちろんタッチパネルなので、このまま画面をタップしたりスワイプ操作ができ、普通のスマートフォンとして使うことが可能です。
なお、E Ink側は表画面をそのまま表示するだけではなく、専用UIのメニュー画面への切り替えも可能です。モノクロのE Inkで見やすい表示とアイコンが配置に変わり、操作しやすくなります。こちら側で電子ブックリーダーをいつも使う、なんて人はショートカットとして関連アプリを登録しておくといいでしょう。
本体サイズは157×76.8×8.45mm。右側面には指紋認証センサーも搭載されます。前モデルのA2ではここを長押しして表と裏の表示を切り替えていましたが、CPU性能が低いこともあってかワンテンポ遅れる感じがしました。A2 Proでは画面タップで直接切り替えができるので、操作性も高まっています。なお外部コネクターはType-Cです。
E Ink側はやはり文字表示が見やすく、細かな文字の表示も問題ありません。長時間読書をするときなどに便利でしょうね。ウェブブラウジングもテキスト中心であれば、こちらを使うのがよさそう。写真をカラーで見たければ画面右下タップで表面に切り替えればいいのです。
E Inkでの写真表示も実は悪くはありません。A2 Proは画面のスクリーンショットを撮ってE-Inkの画面に貼り付けておくこともできるので、お気に入りの写真を裏面に表示しておく、なんてこともできます。
またE Inkの画面でセルフィーを撮ってみましたが、この時に使うカメラはリアカメラ、すなわち1600万画素のカメラを使います。セルフィーのプレビューとしてE Inkの画面を使用するのも便利な使い方かもしれませんね。
18:9のワイドディスプレーを搭載する「Infinity H11」
Infinity H11は18:9の5.99型ディスプレーを搭載する製品です。画面解像度は720×1440(HD+)で、一般的なスマートフォンよりも縦長なスタイルです。フロント側にホームボタンは無く上下左右対称のデザインをしています。製品名の「Infinity」は、類似の縦長ディスプレーを採用するGalaxy S8の「Infinity Display」からインスパイアしたものでしょうか。SoCはSnapdragon 430です。メモリーは4GB、ストレージは32GB。
背面には中央上部に指紋認証センサーを内蔵し、左上には1200万画素カメラを搭載しています。なおフロント側のカメラも1600万と画素数は高め。Hisenseのメーカーロゴは背面下部にさりげなくプリントされています。側面形状に丸みがないため、全体的にやや角ばった印象のデザイン。同じ縦長ディスプレーを採用するLGの「G6」にどことなく全体形状が似ています。
本体サイズは159.44×76.1×7.85mm。6型ながらも片手での操作も問題ありません。同じディスプレーを採用するWiko「View XL」が76.5mmですから、それよりも若干スリムな形状に仕上げています。こうして複数メーカーからワイドディスプレー搭載モデルが出てくると、この形状もだんだんと見慣れてきました。
この縦長ディスプレーを活かすアプリは特にインストールはされていません。カメラの設定を見ると18:9の撮影モードがあり、これを選択するとディスプレー全体をファインダーとして撮影することが可能です。撮影後の画像を画面いっぱいで楽しみたいときは、この解像度を使うのが良いでしょう。H11も中国とグローバルで展開予定。発売は2017年中、価格は未定です。
フロントカメラ2000万画素のセルフィーマシン「H10」
こちらのモデルは7月に発表されたもので、アフリカなど新興国市場への投入がすでに決まっています。ディスプレーは5.5型フルHD、SoCはSnapdragon 430、メモリー4GB、ストレージ64GB。
H10の最大の特徴はセルフィー機能で、美顔効果はスライドバーで0から10まで調整できる一般的なもの。またフロント側にもフラッシュライトを内蔵しています。
ターゲットユーザーは20代前後ということで、本体カラーもカジュアル感の高いピンクやブルーが用意されます。発売は2017年内、価格は未定です。
最近はフロントカメラ性能を高めた製品が増えています。ハイセンスのこれら3製品もフロントカメラは1200万/1600万/2000万と画素数を高め、セルフィーブームにしっかりと乗っています。また2017年に入ってからサムスンとLGが搭載を始めたワイドディスプレーにも早速対応。さらには両面スマートフォンを早くも世代交代させるなど、いずれも市場を積極的に攻めているように感じられました。これらの製品が実際に発売されたら、ぜひ使ってみたいものです。
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