展示用のジオラマをつくらせていただくことに!
早いものでもう9月。今年も3分の2が過ぎて夏も終わってしまいましたが、この夏もアツいイベントがいくつもありました。SDCCことComic-Con International: San Diego――サンディエゴ・コミコンもそのひとつ。年に一度、アメリカ・サンディエゴで開催されるアメコミの祭典で、今年のコミコン2017は7月20日から23日の4日間にわたって開かれました。
コミコンのスタートは1970年。当初は参加者が300人ほどの小規模なコミックファンイベントだったそうですが、1989年に1万人を超えると一気に加速し、近年は13万人以上が集まる巨大イベントになっています。内容もコミックやSF・ファンタジー映画が中心だったのが、アニメやトイ、フィギュア、カードゲーム、テレビゲームなどポップカルチャーやエンターテインメント全般にひろがっています。
かなりの俺得イベントなわけですが、今回なんと、会場で展示するフィギュアの展示台を作らせていただくという光栄すぎるお話をいただいてしまいました。フィギュアやキャラクター商品、プラモデルなどで有名なコトブキヤさんのブースです。
コトブキヤさんでは「ARTFX+」シリーズとしてアメコミを中心としたフィギュアをリリースしていて、今回展示されたのは2017年11月23日に日本で公開する映画『ジャスティス・リーグ』に登場するアメコミヒーロー達です。
地面もビルの壁も鉄板が入っています
コトブキヤさんはジャスティス・リーグの登場キャラ以外にも、DCやMARVELなどのアメコミヒーローのフィギュアを多数リリースしています。展示台は今後もいろいろと使えるようにということで、スパイダーマンなどもお借りしました。制作中は時々そのフィギュアを置いてみて、おかしいところがないかをチェックします。
ワタシが作ったのはフィギュアを除く部分。地面とビル、ガレキなどです。展示台なので普通のジオラマとはちょっと違いますが、作り方はほぼ同じです。
まず最初にやることは、全体のイメージを決めるためのラフづくり。絵を描くのはいまいち苦手なので、ワタシの場合は紙でザックリ作ります。
ARTFX+シリーズは足の裏に磁石が埋め込まれていて、鉄板などの上で安定した自立が可能。このジオラマも地面全面に薄い鉄板を貼り、薄いスチロール板でカバーしました。ビルの壁にも鉄板を入れたので、壁に貼り付かせることもできます。普通のキャラは支えきれずに落ちてしまうので、スパイダーマン専用ですけれども。
全体のイメージは戦闘で荒れた街中で、高さは60cmほど。ビルを斜めにしたのは、真っ直ぐに作ると2階建てのようになってしまい高さを表現しにくいのと、スパイダーマンを貼り付けたときの安全マージンのためです。垂直では磁力に不安があったので傾けながらテストをしてみたところ、このぐらい角度が付いていれば落ちることはまずないという感じでした。
最初に作り始めたのはビル。両面に紙が貼られたスチロールパネルに石壁の模様を描き、ラフを原寸大にします。この上に鉄板とスチロール板を貼るので、模様はあくまでもブロックの大きさや密度などの確認用。いろいろなビルの写真をごちゃ混ぜにしつつ、アレンジを加えています。
スチロール板にボールペンで石のラインを描いたり、デザインナイフでヒビを入れたり表面を薄く剥がしたり。0.3mmの鉄板を貼ったあとそのスチロール板を貼り、水性塗料で色を塗っていきます。
キャンバス用の木製パネルに2cm厚のスタイロフォームを貼り、平らな部分に鉄板を貼って、スチロール板でカバー。歩道っぽくするためラインを入れています。表面のザラザラはTOMIXのシーナリープラスター。鉄道模型用の石膏みたいな素材です。
最初はビルを置くだけのつもりだったのですが、フィギュアを飾る場所が手前の地面しかないと奥がただの背景になっちゃうし、高さの変化がないので、左右に何か置いてその上にフィギュアを乗せられるようにすることにしました。
左奥は太いパイプが地下から飛び出しているようにしてみたのですが、うまくフィギュアが乗るように作れなかったので、柱が落ちて来た風に変更。上面には鉄板が入っています。
右奥は地下鉄の入口がガレキで塞がれたようにしてみました。デザインはニューヨークの地下鉄で、中にはSubwayの看板も転がっています。左奥と同じように展示時に高低差をつけられるようにするため、支柱を90度曲げて上に乗せられるようにしたんですが、いまいち何だかよくわからない形になってしまったかも……。
最後にビルをベースに貼り、隙間に鉄道模型用の砂利を詰め込んで茶色く塗装。これで完成なんですが、意外と順調に進んで締切まで少し時間があったので、追加工作をしました。
打ち合わせのとき、担当の方が何度かガーゴイルがあったらいいなぁとおっしゃっていたので、つくってみました。屋根なんかに付いている怪物的な彫刻です。時間がなければいつか追加しようと思って設置場所だけはつくってありました。差し替えができるように接着はしないで差し込むだけにします。
今度こそ本当に完成です。納品したジオラマは現地に空輸され、コトブキヤさんのブースで展示されました。
と、まるで行って来たかのようですが、これは送っていただいた写真です。お客さんが見ているのはフィギュアなのはわかっていますけれど、こうして会場の様子を見ると、なんかうれしくなります。いつかは行ってみたいなぁ。
©KOTOBUKIYA
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