毎日使いたくなるようなERATO APOLLO 7s
片側4gという小型軽量な本体ながら、豊富な低域としっかりハイエンドまで伸びた再生音のバランスに魅力がある。先細りの形状から装着感も良く、スタビライザーがなくても安定する。軽くコンパクトなスライド式充電ケースと相まって、毎日使いたいイヤフォンだ。数少ないウイークポイントは動画再生時の音声ズレだが、音楽しか聴かないなら問題ない。
この製品も今年6月にマイナーチェンジが入り、従来のAPOLLO 7からAPOLLO 7sとなって、DSPによる3Dサラウンドエフェクトが追加された。しかし、このサラウンドが製品のプレミアム性と理解するのは難しい。なぜなら下位機種のMUSE 5にも同じ機能が載っているから。
実売価格は3万円台後半。初代ERAINとは、同じ小型軽量設計ながらBluetooth接続の安定度や再生音のバランスで差をつけていたが、EARINの次期モデル「M-2」もそろそろ登場する。それによって、この製品の立場も変わってくるだろう。
この価格帯はEARIN M-2待ち
そのEARINの新製品「M-2」は、各販売店とも3万2180円で予約を受け付けている。これは初代と同じ価格だ。
当初は8月末の発売と言われていたが、9月下旬発売予定に伸びているようだ。しかし、待つだけの理由がある。というのも、初代の弱点だったレイテンシーや、左右チャンネル間の位相差によるステレオのフェージングは、大幅に改善されているはずだからだ。
初代モデルからの最も大きな変更点は、左右間の接続にNXPセミコンダクターズのNFMI(近距離磁気誘導)を採用したこと。
初代は、一般的なトゥルーワイヤレスイヤフォン同様、左右間の接続もBluetoothだったが、左右間の接続は不安定になりがちで、信号の遅延も大きかった。Bluetoothの電波が人体に吸収されてしまい、左右の耳の間を直進できないことが大きな原因。対してNFMIは磁気による通信で、人体に信号がほとんど吸収されないため、Bluetoothに起因する問題は軽減されるはずだ。
となるとイヤフォン本体の再生音のクオリティーが気になるところ。それ次第で開放インイヤー型のAirPodsに対する密閉カナル型として、EARIN M-2がほかを引き離す可能性もある。
決して安い買い物ではないので、2万円以上の価格帯の製品を選ぶなら、EARIN待ちでじっくり考えたほうがいいかもしれない。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ
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