スイスの新しい法令の下でも「手が届く価格帯」を死守
フレデリック・コンスタントはジュネーブのプラン・レ・ズゥアットに、最先端の設備を備えた広さ3200平方メートルの自社工場を持ち、世界100ヵ国以上、2700以上の店舗で販売をしている。スイスの時計業界では「スイス製」表記を強化する動きがあり、2017年1月1日に新しい法令がスイスで施行され「スイス製」と表記できる基準が厳しくなった。
新しい法令により、「スイス製ムーブメントは製造コストの60%がスイスで支払われていること」と定められており、フレデリック・コンスタント製品の値上げが懸念されるなか、スターツ氏は「効率性を念頭に置き、デザインや開発初期からコスト意識を念頭に置くことで、製品価格の値上げはせずに従来の価格を守る」と話した。「手が届くラグジュアリー」を唱えるフレデリック・コンスタントのユーザーの多くは、30〜45歳であり高額所得者ではないので、ユーザーのためにも「現状の価格帯は守るべきだ」という。
スイス製のマニュファクチュールブランドであるフレデリック・コンスタントと、革新的な独自技術をもつシチズン。双方においてデザインや開発部門は別であるが、すでにいくつかのパーツはコラボを実施しているという。
これまで右肩上がりの成長を続けてきたフレデリック・コンスタントは、いち早くスマートウォッチ用の「スイス製ムーブメント」の開発、生産も手がけてきた。かたやシチズンは「エコ・ドライブBluetooth」など、光で発電する充電器不要の針式のスマートウォッチを発表している。「直近においてスマートウォッチなどの共同製作の予定はない」とスターツ氏は話すが、両社間で販売やマーケティング戦略における相乗効果を考慮すると、旧来からの腕時計市場とIT系メーカーが先鞭をつけたスマートウォッチ市場がともに活性化しそうだ。