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社内向け/社外向けに両対応、APIライフサイクルを包括管理「API Platform Cloud Service」

オラクル、マルチクラウド対応のAPI管理プラットフォーム発売

2017年07月31日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは7月28日、クラウド型API管理ソリューション「Oracle API Platform Cloud Service」の提供を開始した。「Oracle Cloud」だけでなく、AWSやAzureなどあらゆる他社クラウドやオンプレミス環境にもAPIゲートウェイを配置でき、それらのAPIゲートウェイ群を集中管理できるアーキテクチャが特徴。

「Oracle API Platform Cloud Service」の特徴

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 Cloud Platformビジネス推進本部 本部長の佐藤裕之氏

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 Cloud Platformビジネス推進本部 マネージャーの生駒浩大氏

ビジネスユーザーから開発者/IT管理者までのAPI基盤を統合

 Oracle API Platform Cloud Serviceは、さまざまなアプリケーションのAPIライフサイクル全体を包括的に管理できるソリューション。ビジネス部門側のAPI設計者、IT部門側のAPI実装者やAPI管理者、社内外のアプリケーション開発者が共有し活用できるAPI管理プラットフォームとなっている。

 具体的なアーキテクチャを見ると、APIトラフィックを実際に処理するAPIゲートウェイは、Oracle Cloudだけでなくサードパーティのクラウドやオンプレミス環境にも配置できるようになっており、Oracle Cloud上でホストされる管理サービスがこれらを集中管理する仕組み。管理サービスは、開発したAPIやポリシーを各ゲートウェイに配信するほか、各ゲートウェイからAPIの利用状況などの情報を収集して解析、ダッシュボードで可視化する。

Oracle API Platform Cloud Serviceのアーキテクチャ。APIゲートウェイはあらゆるクラウドやオンプレミス環境に配置でき、それをOracle Cloud上でホストされる管理サービスで一元管理する

 またAPIの設計/定義部分には、米オラクルが今年買収したApiary(エイピアリー)のサービスを統合しており、Open API Specification 2.0やAPI Blueprintといった標準に準拠した形式で、ノンコーディングでのAPI仕様設計/定義を可能としている。ここでの設計/定義情報は、API実装者やAPI利用者(アプリ開発者)向けのポータルにも共有される。

APIの設計/定義部分にはApiaryのサービスを統合。API利用者/管理者向けポータルに反映される

 ポリシーは管理サービス上で一括管理され、各APIゲートウェイに配信される。ポリシーでは、セキュリティ(アクセス制御)やトラフィック管理(流量制御など)、ルーティングなどが定義できる。

APIゲートウェイで実行できるポリシー一覧

 Oracle API Platform Cloud Serviceの利用価格は、1つのロジカルゲートウェイで月額16万6845円から(税抜、Non-Metered、月間APIコール2500万件まで)。なお「ロジカルゲートウェイ」は管理単位で、1つのロジカルゲートウェイ配下に複数環境のAPIゲートウェイ、複数のAPIを持つことができる。

 発表会に出席した同社Cloud Platformビジネス推進本部 マネージャーの生駒浩大氏は、APIゲートウェイはアプリケーションに近い位置に配置するのが適切であり、顧客ニーズに応じてオンプレミス環境にもマルチクラウドにもAPIゲートウェイのインスタンスを配置できる点、それらを集中管理できる点が、Oracle API Platform Cloud Serviceの「いちばんの強み」だと語った。

「社内API開発基盤」「社外API連携基盤」の両ニーズに対応

 同社 Cloud Platformビジネス推進本部 本部長の佐藤裕之氏は、新しいAPI管理ソリューションが必要とされる背景や、同社のIaaS/PaaSである「Oracle Cloud Platform」における位置付けなどを説明した。

 ビジネスの“デジタル化”が急速に進行するなかで、ITには「顧客の要求へのスピーディな対応」と「イノベーション創出を推進する力」が強く求められるようになっている。オラクルでは、それを実現するモダンなITアーキテクチャを提供するソリューションとして、Oracle Cloud Platformを展開している。

 2014年から提供を開始したOracle Cloud Platformでは、提供するサービスを段階的に拡張してきており、現在では約50種類のサービスをラインアップしている。佐藤氏は、今回のAPI Platform Cloud Serviceはその中で「アプリケーションのインテグレーション関連サービス」に位置づけられるとしたうえで、SOAアダプタなどのアプリケーション統合サービスやIoTゲートウェイサービス、マルチクラウド管理サービス、セキュリティサービスなどもラインアップされていることで、初めてAPI管理サービスの真価が発揮されることを説明した。

Oracle Cloud Platformで提供されている、インテグレーション(統合)関連のサービス群

 また、日本の顧客においても、単なるAPIの実装にとどまらず、それを統合管理できるAPI管理ソリューションへのニーズが高まっていると述べたうえで、主要なユースケースである「社内API開発基盤」(プライベート)と「社外API連携基盤」(パブリック)のどちらにも対応可能なアーキテクチャで構成されていることを説明した。

APIゲートウェイをオンプレミス環境、クラウド環境のどちらにも配置できるため、プライベート/パブリックのAPI利用ニーズに対応しやすい利点を強調

 なお、日本市場におけるAPI Platform Cloud Serviceのビジネスについては、あらゆる業種における新規事業での採用を主なターゲットとすると述べた。エンタープライズ領域では「Oracle SOA」や「Oracle Fusion Middleware」を導入している企業のAPI実装や管理、また中堅中小企業においてはマルチクラウド環境でのAPI統合管理ニーズを狙うとしている。

 佐藤氏は最後に、すでに日本の顧客への展開もスタートしており、国内導入事例についても近いうちに公開できる見込みだと述べた。

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