AppleのAirPodsに代表されるトゥルーワイヤレスイヤフォンも、気が付けば優れた製品が目白押し。すでに選ぶのも迷うほどの状態だ。
その中でもERATO(エラート)の「MUSE 5」は、あえて小型軽量を狙わず、実用的性能に注力した製品。アーリーアダプター向けのガジェットから、オーディオ機器としての性能向上、扱いやすさを狙った製品である。
ERATOブランドの中ではミドルレンジにあたり、下位機種にスポーツタイプで長時間再生可能な「Ri0 3」、上位機種に小型高音質の「APOLLO 7s」がある。
オーディオに関わる部分では、5.8mmマイクロドライバー、DSPによる3Dサラウンド機能、音声コーデックは標準のSBCのほかに、AACとaptXにも対応するなど、APOLLO 7sと共通するところも多い。
この製品の音質や使い勝手は、トゥルーワイヤレスイヤフォンのひとつの基準になるのかもしれない。それがしばらく使ってみた印象で、詳細をご報告したい。
連続再生4時間のバッテリー容量
MUSE 5の実用面での良さは、まず連続4時間というバッテリーの持続力だろう。トゥルーワイヤレスで小型軽量を狙ったものは、2時間程度の再生時間が多いが、もし通勤通学で片道1時間以上かかるとすれば、帰りに電力が尽きてしまう。
そこでMUSE 5はバッテリー容量を拡大した。イヤフォン本体は片側8gで、小型軽量なAPOLLO 7sの4gに比べると倍重い。しかし、バッテリー容量もAPOLLO 7sの50mAhに対し、100mAhと倍ある。これで4時間の連続再生時間を得たわけだ。
イヤフォン本体の充電は、バッテリー内蔵の充電ケースで、フルチャージまでに2時間。ケースの内蔵バッテリー容量は700mAhで、USBケーブルを使って、やはり2時間でフルチャージ。これでイヤフォン本体を2回以上充電できる。
この充電ケースのフタはヒンジ式ではなく、上フタ全体が外れる構造。ケース側とイヤフォン側の接点を吸着させるためのマグネットはないが、フタをかっちり閉めておけば問題ない。
イヤフォン本体は、雨や汗の害を防ぐため、ナノコーティングによりIPX5相当の耐水性能を持つ。Bluetooth 4.1に準拠し、マイクを内蔵して、再生中のスマートフォンの着信、通話に対応するヘッドセット機能を持つなど、トゥルーワイヤレスイヤフォンに求められる実用的機能は、当然のように一通り揃っている。
やや重ながらフィット感上々の理由
本体重量8gという若干重い重量を支えるために「FitSeal」と呼ばれるパーツが付いている。このパーツ、実は特に珍しいものでもなく、最近レビューしたトゥルーワイヤレスイヤフォンでは、VAVA MOOVが似たようなパーツを装着していた。
ただ、その効果は高く、本体の重量を支えて安定性が増すのみならず、耳孔の外周部を塞ぐことで遮音効果も上がる。イヤーピース、FitSealともに、S/M/Lの3サイズが付属する。うまく組み合わせてフィッティングさせれば、一石二鳥の効果が得られる。