窓やサッシ、ドアなどで知られるメーカー「YKK AP」が、ガラス面にタッチセンサー付き透明有機ELパネルを組み込んだ“ハイテク窓”のプロトタイプを公開した。
「未来窓」と名付けられたこのプロジェクトのテーマは「世界とつながる窓 Window with Intelligence」。ただ窓をディスプレー化させるだけでなく、家電や各種センサーと連携させて室内の空気の汚れや室温に応じて窓を自動的に開閉する機能を搭載。報道関係者向けに公開されたのはプロトタイプだが、3年後に製品化させる予定だ。
記者会見に登壇したYKK AP経営企画室事業開発部長の東 克紀氏は「窓は住む環境を大きく左右するパーツだが、家を建てる際はキッチンやトイレに比べると優先度は低い」と語る。YKK APは「もっと窓を意識してほしい」という思いから、このプロジェクトをスタートさせた。
会見中に行なわれたデモンストレーションは、縦横1596×1062mmの大きな窓が使われた。一見すると単なる窓だが、窓ガラスの中にタッチセンサー付き透明有機ELパネル(55型)が入っており、状況に応じて天気予報や気温、室温、紫外線情報などを表示していた。
このほかにも、室内の写真を一定時間おきに撮り続けてライフログを自動作成する機能や、デジタル付箋を貼り付ける機能、スマホ画面をミラーリング表示する機能などが紹介された。スマホの画面をそのまま窓に映し出せるため、動画を再生をすれば巨大なモニターとしても使えるだろう。
ただし、現在の透明有機ELパネルは背面からも見えてしまうため、通行人に情報を見られてしまう。東氏はプライバシー問題に関して「液晶の背面にブラインドを入れるなど、製品化に向けての課題」と語る。
多数の機能が組み込まれた「未来窓」だが、実はAndroidで制御されている。このため、アプリを開発すればユーザー独自の機能を組み込めるのもおもしろい。
気になる価格は、現時点では100万円以下とのこと。ただし、材料費の大部分が透明有機ELパネルのため、パネルの供給が進んで値下がりすれば「未来窓」の価格は大幅に下げられる。東氏は「3年後にいくらで発売できるかは、3年後の透明有機ELパネルの価格次第」と語る。
報道向けに公開された「未来窓」は、7月1日からYKK APの「ショールーム新宿」にて一般公開される。毎日数回デモンストレーションが実施される予定なので、予約時に「未来窓デモ希望」と書いて申し込んでみよう。