このページの本文へ

Azureを牽制、Google Cloud Nextの2日目基調講演

Google Cloud Platformは安価、オンプレへの投資も再利用できる

2017年06月16日 07時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

分散RDB「Cloud Spanner」が東京リージョンでも利用可能に

 2つ目のトピックとして、GCPが“インテリジェント”だという文脈で機械学習サービスとビッグデータ関連サービスが紹介された。

Google Cloudエンジニアリング部門バイスプレジデントのブラッド・カルダー氏

 Google Cloudエンジニアリング部門バイスプレジデントのブラッド・カルダー氏は、まず、5月にGA(一般提供)になったGCPの分散データベースサービス「Cloud Spanner」を取り上げ、「業界初にして唯一の水平スケーリング可能なリレーショナルデータベース(RDB)である」とアピールした。

 Cloud Spannerは、世界9拠点のGCPリージョンにデータを自動同期レプリケートする分散RDBサービス。「ユーザーが、データにどうインデックスをつけたらいいか、ストレージ容量は足りるかどうかといったことを考えなくてもよいフルーマネージドのサービスとして提供する」(カルダー氏)。SQLトランザクションに完全対応し、数千ノードにスケーリングする。「分散配置したリージョン間でデータの一貫性を確実に保証しつつ、リージョン間の通信にGoogle自前のプライベートネットワークを使うことで高いパフォーマンス、低遅延を実現している」(カルダー氏)。もともとはGoogleの社内向けに開発されたもので、Google内部では2007年から本番環境で利用されてきた。

 デモでは、Google Cloud ソリューションアーキテクトの八木橋徹平氏が、グローバルなチケット販売サービスをCloud Spannerで展開するケースを紹介した。「世界中でチケットを販売するサービスの要件は、すべての購買客が同一のデータベースにアクセスできるデータの一貫性の保証。また、データストアとしてスケーラブルであること、遅延が少ないことも求められる。Cloud Spannerはこのようなサービスの要件をすべて満たす」(八木橋氏)。

 Cloud Spannerは、まずインスタンスの名前をつけて、展開先のリージョンを選択し、インスタンスに何ノードのリソースをあたえるかを選択するだけで利用開始できる。データベースのテーブル設計は、トラディッショナルなRDBと同じだ。八木橋氏は、北米、アジア、ヨーロッパの3つのリージョンに分散したチケット販売サービスのシステムで、サービスを稼働させたままノードを追加するデモを行い、「ダウンタイム無しに、スキーマ構成の変更や、キャパシティの追加ができる」と説明した。

Cloud Spannerのインスタンス名、展開先リージョン、リソースを設定

Cloud Spannerで3リージョンにチケット販売サービスのデータベースを配置

Cloud Spannerのデータベースのテーブル設計はトラディッショナルなRDBと同じ

サービス稼働中のCloud Spannerにノードを追加

 Cloud Spannerは、6月16日からGCPの東京リージョンで利用可能になる予定だ。

「BigQuary」のエコシステムが拡大中

 続いてカルダー氏は、GCPのビッグデータ分析サービスとAIサービスを紹介した。

 GCPでは、WebやIoTからデータを取り込む「Pub/Sub」、データを変換する「Dataprep」「Dataflow」「Dataproc」、データ分析を行う「BigQuary」、分析結果を可視化する「Data Studio 360」「Cloud ML Engine」というように、エンドツーエンドのビッグデータ分析サービスを提供している。

 このうち、BigQuaryはSQLでデータ解析ができるデータウェアハウスだが、そのエコシステムが今、急拡大しているとカルダー氏は説明した。「BigQuary Data Transfer Service」(GoogleのAdWords、DoubleClick、YouTubeなどのSaaSからBigQuaryへデータを取り込むマネージドのデータインポートサービス)でのデータインポートに対応するサードパーティーのSaaSが増えている。BigQuaryと一緒に閊えるETL、アナリティクスサービス、BIや可視化ツールも増えているという。

BigQuaryのエコシステム

 AIについては、「AIを必要とする企業が、簡単に使えるようにすることに投資をしている」とカルダー氏。Googleは、深層学習フレームワーク「TensorFlow」をオープンソースとして公開し、TensorFlowのモデルのトレーニングを高速に実行する「Cloud Machine Learning」をGCPから提供している。「しかし、TensorFlowのモデルサポートがあっても、AIは複雑なもの。より簡単にAIをビジネスに取り入れたいユーザーは、APIでトレーニング済みの機械学習アルゴリズムを使うという手もある」(カルダー氏)。

 GCPでは、トレーニング済みのAIをアプリケーションに実装できるAPIとして、自然言語理解API「Cloud Natural Language API」、音声理解API「Cloud Speech API」、機械翻訳API「Cloud Translate API」、動画解析API「Cloud Video Intelligence」、画像認識API「Cloud Vision API」を提供している。

「Cloud Video Intelligence」で動画の中の野球のシーンをテキストで検索するデモ

 デモでは、Cloud Video Intelligenceを使って、「野球」とテキスト検索すると、複数の動画の中から野球のシーンがある動画だけを抽出できる様子が紹介された。

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    実用化が楽しみすぎるスマート技術たち 「長距離ワイヤレス給電」から「室内向け太陽電池」「超音波センサー」まで

  2. 2位

    sponsored

    AIインフラ市場“一強体制”を崩せるか AMDが「Helios」で体現するオープン戦略とフィジカルAIのラストマイル

  3. 3位

    ビジネス・開発

    富士ソフトがエンジニア1万人超を「AIネイティブ」化 実装力を武器にフィジカルAIなど3本柱に注力

  4. 4位

    ITトピック

    IT技術者の8割超「AI生成コードには人間のレビューが必要」/「偽・誤情報を見破れる」と自信を持つ人はICTリテラシーテストの正答率が低い、ほか

  5. 5位

    ITトピック

    6.4万人の熱狂をAIが導く FIFA W杯全スタジアム「デジタルツイン」化が変えた観戦体験

  6. 6位

    デジタル

    買い切り型クラウド「pCloud」がDX総合EXPOへ CEO来日で日本展開を加速

  7. 7位

    ITトピック

    IT技術者の約半数が「AIの進化で転職を意識」/これから起きるのは「SaaSの死ではなく変容」/バックアップ市場は堅調に成長、ほか

  8. 8位

    sponsored

    「IT機器が高すぎる」「熟練メンバー不在で分からない」… 情シスさんの“現場の悩み”をエンジニア3人に聞いてみた

  9. 9位

    Team Leaders

    SharePointリストへの登録データを、CSVファイル形式に成形/変換して自動保存する方法

  10. 10位

    TECH

    攻撃するAIと防御するAI 日本企業のセキュリティ対策にいま何が必要か?

集計期間:
2026年07月15日~2026年07月21日
  • 角川アスキー総合研究所